Feb 01, 2025

【2月におすすめの本】2月がもっと楽しく!充実の読書時間におすすめの本をおすすめ読書法と一緒に紹介

コーヒーを飲みながら読書

お気に入りの飲み物を片手にページをめくる時間は、日々の喧騒を忘れさせてくれる至福のひととき。家で過ごすことが増える季節だからこそ、充実した読書時間を過ごしたいですよね。この記事では、寒い冬にぴったりの本を7冊紹介します。冬の読書をさらに深く楽しむための方法も紹介するので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

編集部厳選!2月におすすめの本7選

凍える寒さが続く2月はつい家に閉じこもりがちですが、そんな時こそ読書の絶好のチャンスです。ここでは、心に染み入る物語から好奇心をくすぐる作品まで、幅広い本をピックアップしました。ぜひお気に入りの一冊を見つけて、物語の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

今と丁寧に向き合う「日日是好日」森下典子

「日日是好日」森下典子
「日日是好日」森下典子 著/新潮文庫

2月6日は「抹茶の日」。茶道ではお湯を沸かすための「風炉(ふろ)」という道具があり、その語呂合わせで「2(ふ)+6(ろ)」ということで制定されたのだとか。日本の伝統文化である茶道の世界に触れる作品がこちら。

 

主人公は、二十歳になったばかりの大学生・典子。特にやりたいことも見つからず過ごしていたある日、典子は母親に勧められるまま、流されるように茶道教室に通うことになります。そこで出会ったのは、四季折々の美しいお菓子とお茶の味、そして不思議な魅力を持つ「先生」でした。初めは作法に戸惑うばかりだった典子ですが、お稽古を重ねるうちにお茶の奥深さや日常の中にある喜びに気付き始め——。

 

何気ない毎日の素晴らしさと今を生きることの大切さを感じられる、森下典子のベストセラーエッセイ。茶道の精神を通じて、自然との調和や人生における大事なことを教えてくれる、心温まる作品です。

チョコレートをつまみながらどうぞ「ショコラ」ジョアン・ハリス

『ショコラ』 著:ジョアン・ハリス、訳:那波 かおり KADOKAWA/角川文庫
『ショコラ』 著:ジョアン・ハリス、訳:那波 かおり KADOKAWA/角川文庫

2月14日は「バレンタインデー」。日本では女性から男性へチョコレートを贈ることが定番になっていますが、実はチョコレートメーカーの広告により始まった日本独自の風習です。とはいえ、甘美でほろ苦いチョコレートはまさに恋愛模様を表現したスイーツと言っても過言ではないでしょう!ということでチョコレートの罪な美味しさに魅了される作品がこちら。

 

北風と共にフランスの小さな村にやってきたヴィアンヌとその娘アヌーク。ヴィアンヌは娘のために放浪生活を終え、村の一角にチョコレート店をオープンします。彼女が作る魔法のようなチョコレートは甘くて魅力的で、頑なだった村人たちの心を溶かし、凍りついた村に温かい光をもたらします。しかし、伝統を重んじる村の司祭ルノーは、彼女の店を快く思わず——。

 

甘い誘惑とほろ苦い人間模様が交錯する、大人向けのファンタジー。2000年にアメリカで映画化された作品で、登場人物たちの心の交流や変化が丁寧に描かれています。原作と映画、それぞれに独自の魅力があるので、ぜひ両方ともチェックしてみてくださいね。

好きなものを手放すって大変!「禁煙小説」垣谷美雨

「禁煙小説」垣谷美雨 著:双葉文庫
「禁煙小説」垣谷美雨 著/双葉文庫

2月18日はたばこによる受動喫煙を拒む運動が始まったとされる「嫌煙運動の日」。その運動をきっかけに今では喫煙場所が制限され、愛煙家にとって肩身の狭い時代となりました。禁煙したい気持ちはあってもなかなか止められない、そんな葛藤を追体験できるのがこちらの作品。

 

喫煙者にとって厳しい時代が続く中、どうしてもタバコを手放せない主人公・早和子。禁煙にチャレンジし続けて20年ほど、年に10回は禁煙を決意するも、早和子にとってタバコは心の友であり、いつも失敗続きでした。とはいえ、時代は禁煙ブーム。職場の数少ない喫煙仲間が次々と禁煙したことで、早和子も本気で禁煙に取り組むことを決意します。禁煙本や禁煙ガム、ニコチンパッチなど、あらゆる手段を試みるも失敗を重ねた彼女は、藁にもすがる思いで禁煙外来を訪れることに——。

 

禁煙を考えている人はもちろん、そうでない人も楽しめる禁煙小説。タバコを取り巻く社会の変化をユーモアたっぷりに描いていて、ついクスッと笑ってしまうような場面も満載。タバコへの未練や禁煙の苦しみ、周囲の視線に悩む主人公に、つい自分を重ねてしまった!という声も多い作品です。

ほっと優しい日常ミステリー「歌舞伎座の怪紳士」近藤史恵

「歌舞伎座の怪紳士」近藤史恵
「歌舞伎座の怪紳士」近藤史恵 著/徳間文庫

2月20日は「歌舞伎の日」。歌舞伎の元祖と言われている出雲阿国(いずものおくに)が初めて徳川家康公の前で「かぶき踊り」を披露した日なのだとか。敷居が高いイメージのある歌舞伎ですが、本来は庶民の娯楽から始まったものです。これを機に歌舞伎を観劇したくなる作品がこちら。

 

主人公の岩居久澄は、職場でのパワハラに苦しみ、心身ともに疲れ果てて退職。それ以来、家事を手伝いながら、もやもやとした日々を過ごしていました。そんなある日、祖母から「歌舞伎座を観て感想を伝える」という奇妙なアルバイトを持ちかけられます。最初こそ戸惑った久澄でしたが、舞台上で繰り広げられる人間ドラマや、役者たちの情熱的な演技、そして観客の熱気に触れるうちに、歌舞伎のその華やかさや深さに心を奪われていきます。そんな中、彼女の心に「私が観る芝居に必ず【親切な老紳士】がいるのは、なぜなのか?」という疑問が浮かび始め——。

 

細やかな心理描写と緻密なストーリー展開が魅力の劇場型ミステリー。歌舞伎の知識がなくても楽しめるよう、舞台の様子や役者の心情が丁寧に描かれており、まるで自分が歌舞伎座にいるかのような臨場感を味わえます。

不思議な世界観が夢そのもの「夢十夜」夏目漱石

「夢十夜」夏目漱石
「夢十夜 他二篇」夏目漱石 著/岩波文庫

2月21日は「漱石の日」。この日に文部省から文学博士の称号を授与されるとなった時、「自分には肩書きは必要ない」といって断ったのが由来なのだとか。漱石かっこいい!誰もが知っている夏目漱石ですが、今回ピックアップした名作はこちら。

 

「夢十夜」は夏目漱石が描いた夢をテーマにした短編集で、全10篇から成り立っている物語。10日間にわたって夢を記録したという形式で描かれており、漱石が見た10の夢をもとに、現実と幻想の境界が曖昧になる不思議な物語が展開されます。母と子の絆や孤独、自身の罪と向き合う恐怖、奇妙な生き物との出会い、愛する人の生まれ変わりを思う時間。漱石独自の世界観が読者の想像力を刺激する名作です。

 

夢十夜では、夢という非現実的な世界を通して、人間の内面が深く掘り下げられています。さまざまな解釈を楽しみたい方や、心を揺さぶる作品を求めている方には、ぜひ一度手に取ってみてほしい一冊です。

タイトルとは真逆!!「私はネコが嫌いだ。」よこただいすけ

「私はネコが嫌いだ。」よこただいすけ
「私はネコが嫌いだ。」よこただいすけ 作・絵/つちや書店

2月22日はネコの鳴き声「にゃん(2)+にゃん(2) +にゃん(2)」の語呂合わせで「猫の日」です。ネコといえば愛らしい姿と気まぐれな性格に心奪われる人が多いのではないでしょうか。そんなネコへの想いがたっぷり詰まった作品がこちら。

 

「お父さん、このネコ飼ってもいい?」ある日娘が拾ってきたのは、全身真っ黒な縁起の悪い猫でした。突然我が家にやってきた小さな厄介者はいつまでたってもトイレを覚えず、夜中にお腹が空いたと騒ぎ、邪魔な場所に陣取って仕事や眠りを妨げるなど、「お父さん」の静かな日常をかき乱す存在。そのつど「私はネコが嫌いだ」と思い続ける主人公ですが、ついに「そのとき」を迎えた猫が最後に向かったのは——。

 

言葉に隠された本音が絵からあふれ出す、感動の一冊。猫と一緒に年を重ねる主人公の表情からは、猫への深い愛情がひしひしと伝わってきます。子供向けの作品ながら、何度でも読み返したくなる名作です。

贅沢な時間を楽しむ…2月におすすめの読書法3選

身も心も縮こまりがちな2月には、五感を満たし心を温めてくれる読書法がおすすめ。作品の世界観に合った読書法を選べば、本の楽しみ方は更に広がります。ここでは、上で紹介した作品にもぴったりな、おすすめの読書法を紹介します。

チョコレートの香りに包まれながら読書

チョコレート

 

チョコレートの甘い香りに包まれながら読書を楽しむ時間は、まさに至福のひととき。大人向けの恋愛小説やミステリーには少しビターなチョコレートを、心温まる絵本やファンタジーには濃厚なミルクチョコレートがぴったりです。温かい飲み物と一緒にお気に入りのチョコレートを用意して、贅沢な読書タイムを楽しんでみてくださいね。

富士山を眺めながら読書

富士山

 

澄んだ空気の中で悠然とそびえる富士山を眺めると、心が洗われるような爽やかな気持ちになりますよね。窓辺や公園のベンチ、旅行やドライブの途中で立ち寄った休憩所など、富士山が見える場所ならどこでも最高の読書スポットになります。遠方など実際に富士山を眺めるのが難しい場合は、写真集や風景画を見ながら読書を楽しむのもおすすめですよ。

ペットを愛でながら読書

犬と読書

 

愛するペットと一緒に過ごす時間は、何にも替え難い癒しの瞬間。寄り添って眠るペットの温もりを感じたり、気ままに遊ぶ姿を眺めたりしながらの読書は、心安らぐ特別な時間になるでしょう。ペットの可愛い行動にクスッと笑ったり、愛らしい姿に癒されたりしながら、穏やかな読書時間を過ごしてみてくださいね。

おわりに

本を読む女性

 

読書は、寒い冬を豊かに彩る最高の過ごし方の一つです。今回ご紹介した7冊は、心温まる物語から知的好奇心をくすぐる名作まで、寒い冬にじっくりと味わいたい選りすぐりの作品ばかり。ぜひ次のお休みには書店に立ち寄って、気になる本を探してみてはいかがでしょうか。