Jun 18, 2026
【専門家監修】ローリングストックをやめた人が増えている?理由や代替となる備蓄方法を紹介
ローリングストックは防災対策として推奨されている備蓄法のひとつですが、実践してみると「管理が思ったより大変」「収納スペースが足りない」など、現実的な壁にぶつかる人も少なくありません。
この記事では、整理収納アドバイザーであり、全国にトランクルームを展開する株式会社ストレージ王の坂上正洋さん監修のもと、ローリングストックをやめた理由を掘り下げつつ、やめた後でも防災備蓄を無理なく続けられる代替策を紹介します。防災と暮らしの両立を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
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ローリングストックをやめた人が増える背景
ローリングストックをやめた人が増える背景には、理想と現実のギャップがあります。とくに共働き世帯では、在庫確認・賞味期限チェック・買い足しという三つの工程を日常業務として継続することが難しいと感じている人も多いようです。時間的に余裕のない家庭では、作業が自然と後回しになり、結果的にローリングストックをやめる原因になってしまいます。
ローリングストックとは

ローリングストックとは、ふだん使っている食品を少し多めに買い置きして、消費期限や賞味期限が近いものから消費し、消費したら、その分をまた買い足す家庭の備蓄方法です。この一連の作業によって、常に一定量の食品が備蓄されている状態を保つことができます。
非常食は災害時の備えとして用意し、主に災害時に使うものですが、ローリングストックは日常から使用し、かつ、災害時にも使用するものです。この「日常と非常時を兼ねる」という発想が、従来の備蓄方法との大きな違いです。
大災害の発生時は、支援物資がすぐに届かない可能性もあります。コンビニやスーパーも人が殺到し、商品の欠品が相次ぐ状況にもなりかねません。そのため各家庭で食料をストックし、いつでも使える状態にしておくことが大切です。
ローリングストックのメリット

ローリングストックのメリットのひとつは、日常生活と災害時の備えを両立できることです。暮らしの延長線で災害に備えることができるので、気軽に取り組みやすいでしょう。
また、ローリングストックは、備える、食べる、買い足すといった一連の作業を繰り返していくことで消費期限切れを防げて、食品ロスの削減にもつながります。
さらに、各家庭に合わせて食べなれた備蓄食品を選べるので、避難生活をする際の健康管理もしやすくなり、ストレスの軽減にもなります。普段から食べているものが非常時に手元にあるというのは、精神的な安心感においても大きな支えになってくれるでしょう。
ローリングストックのデメリット

ローリングストックのデメリットは、消費期限チェックの手間が増えることです。家族の人数や食べる量によってはストックが大量になるため、期限切れが発生しないよう計画的にチェックする必要があります。
加えて、賞味期限が長い食品は長期保存のため防腐目的で食塩濃度が高めだったり、加熱殺菌による食感の違いがあったりします。そのため、人によっては口に合わない食品に悩まされることもあるでしょう。こうした現実的な課題が積み重なると、ローリングストックをやめる原因にもなってしまいます。
ローリングストックが続かない主な理由
ローリングストックが続かない理由は家庭によってさまざまですが、よくある例を紹介します。事前に続かないパターンを想定しておけば、失敗を防ぎやすくなるでしょう。
忙しくて管理できない

ストックの量や保管場所を管理しきれないと、ローリングストックを続けにくくなってしまいます。ストックする食品を考えたり、食品を定期的に購入したりといったローリングストックの一連の流れを、面倒に感じてしまうこともあるでしょう。毎日忙しくてゆっくり買い物する時間がない、子連れでの買い物は大変、ネットで買おうにも少量だと送料が気になるなど、買い物は意外と気力と労力が要るものです。
備蓄だけして満足してしまうのではなく、使ったり、買い足したりを繰り返すことで、失敗は防ぎやすくなります。しかし実際には、この繰り返しを続けることそのものが負担になってしまいます。
ストック食品が合わない・偏る

ローリングストックと相性が悪い食品の特徴として、缶詰、レトルト食品などの日常的に使わない保存食品が挙げられます。乾パンや普段食べない缶詰を備蓄したが、賞味期限が近づいて開けてもあまり食べられなかった、という経験がある人も多いでしょう。
また、災害時の食事は炭水化物に偏りがちという問題もあります。ビタミンやミネラル、食物繊維が不足すると口内炎や便秘などの症状が出やすくなります。じゃがいもや玉ねぎなどの日持ちする野菜、ドライフルーツや野菜ジュース、小魚や海藻の乾物なども合わせて、バランスよくストックするとよいでしょう。
収納スペース不足でストレスになる

栄養バランスを考えると、ストックの種類も量も多くなって管理しきれない、という声もあります。ちょい足しアイテムは大きさも形もバラバラなので、収納にも困りがちです。とりあえず適当な大きさのボックスにまとめて入れて放置していると、重なり合うので賞味期限が見えにくくなり、小さい袋や薄いパッケージのものは埋もれてしまいがちです。
ストックそのものを常に見直し、本当に必要なものに絞って少数精鋭にしておくことも大切です。
特に収納スペースが限られている家庭では、「備えたいけれど置き場所がない」と感じるケースも少なくありません。そのため最近では、自宅だけで管理するのではなく、トランクルームなどを活用して“分散備蓄”する方法も注目されています。日常使いする分は自宅、長期保存用は別保管に分けることで、生活スペースを圧迫しにくくなります。
ローリングストックに替わる備蓄方法
ローリングストックをやめた後も、防災備蓄そのものをやめる必要はありません。より負担の少ない方法を考えることが大切です。ここでは、ローリングストックに変わる備蓄方法を見ていきましょう。
1年ストック法の考え方

防災士がおすすめするのが、1年ストック法です。これは、賞味期限が1年程度ある食品を1週間分(21食分)まとめ買いし、1年に1回、決めた月に入れ替える方法です。
1年ストック法のメリットは、管理が年1回で済む点にあります。毎日の在庫を気にする必要がなく精神的負担が減り、入れ替え月に昨年の備蓄を日常の食事として食べて新しいものを買うだけで、常に1年前後の食料を確保できます。
定期配送・サブスクで補充を自動化する
ローリングストックが続かない人には、企業が販売しているローリングストックセットやローリングストックのサブスクリプションの利用を検討してみましょう。
サブスクリプション型サービスのメリットとしては、買い忘れがゼロになること、重たい水や食料を家まで持ち帰る必要がなくなること、在庫の管理がしやすくなることなどが挙げられます。
サービスによっては防災情報やハザードマップなどをつけてくれるところもあり、家族で共有すればみんなで防災意識を高められるでしょう。
防災向けストックの目安と考え方

食料備蓄の基本は、1人あたり最低3日分、できれば1週間分です。大規模災害が発生した場合、支援物資が3日以上到着しないことも予測されるためです。
1人あたり3日分の目安は、以下の通りです。
| 水 | 1日3L×3日分=9L(2Lペットボトル5本程度) |
| 主食 | パックご飯2食、乾麺や即席麺1袋、カップ麺2食程度 |
| 主菜 | 魚・肉の缶詰4缶、レトルト食品4食程度 |
| 副菜 | 野菜ジュース3本、果物缶詰1缶など |
| その他 | おやつ、フリーズドライ味噌汁、カセットボンベなど |
リストアップしてチェックすると、買い忘れを防げて管理しやすくなるでしょう。また、食欲低下や栄養不足が懸念される非常時だからこそ、好みの食事を摂れるよう備えておくと安心です。
また、近年はスマートフォンが安否確認や情報収集の中心となるため、モバイルバッテリーも重要な備えのひとつです。停電時は充電環境が限られる可能性があるため、スマホを複数回充電できる容量のものを家族分準備しておくと安心でしょう。
さらに、衛生面の備えも欠かせません。断水時はトイレが使えなくなる可能性もあるため、簡易トイレは必需品とされています。乳幼児がいる家庭ではおむつやおしりふきなども多めに備蓄しておくと安心です。
そのほか、常備薬や生理用品など、高齢者がいる家庭では介護食、乳幼児がいる家庭では離乳食やミルクなど、必要な物は家庭によって異なります。家族構成やライフスタイルに合わせた備えも意識しておきましょう。
備蓄場所の選び方と分散のポイント

備蓄食料の保管場所は、キッチンのパントリーのみに限定せず、玄関や寝室、車の中など複数の場所に分散させるのがおすすめです。地震で家屋が一部倒壊したり、家具が倒れてキッチンに入れない状況になったりした場合でも、分散して保管すれば食料を確保できる可能性が高まります。
日常使いの水などはキッチン、非常用やモバイルバッテリーは玄関など、日常導線に合わせて配置すると、万が一の事態でも持ち出しやすくなります。また使い忘れや期限切れも防ぎやすくなります。一人暮らしで収納スペースが少ない場合は、ベッド下やクローゼットの隙間などを有効活用しましょう。
おわりに

ローリングストックを一度やってみて「自分たちには合わない」と気づいたら、より現実的な備えを考えてみましょう。大切なのは、完璧な方法を追い求めることではなく、自分の生活スタイルに合った方法で、長く続けられる備蓄を持つことです。
備蓄は一度整えてしまえば、日々の安心感を与えてくれます。1年ストック法にする、サブスクを活用する、収納場所を分散させるなど、できそうなことから試してみましょう。
ローリングストックは、「たくさん備えること」よりも、“無理なく続けられること”が大切です。
家族構成や住環境に合わせて、収納場所や備える内容を調整しながら、自分たちに合った形を見つけていきましょう。
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坂上 正洋
整理収納アドバイザー/株式会社ストレージ王 経営企画室 次長
株式会社ストレージ王にて、トランクルーム事業の経営企画や広報、サービス設計に携わる。収納改善や空間活用に関する専門知識をもとに、記事執筆やメディア監修を多数担当。「専門知識をわかりやすく、暮らしの中で活かせる形にする」をテーマに、収納改善や防災備蓄、分散収納など、暮らしに寄り添った情報発信を行っている。

やち
2015年よりフリーランスとして活動中のWebライター。趣味は節約と旅行、レジャー。「いかにお金を使わずに最大限楽しめるか?」を考えながら、年数回の海外旅行を楽しんでいます。





