Jun 06, 2025
世界各国のカレー10種類【インド・タイなど】特徴やスパイスを解説!

スパイスの香りが食欲をそそるカレー。テレビや雑誌などでカレーの特集を見て「こんなに種類があるの!?」と驚いた人も多いのではないでしょうか?実は世界各国には、それぞれの文化や食材を活かしたさまざまなカレーが存在します。インドの本格スパイスの香り高いカレーから、ココナッツミルクの甘さが特徴のタイのグリーンカレーまで、その味わいは実に多様です。
この記事では、世界10カ国のカレーの特徴や使われている素材、スパイスの使い方などを紹介します。奥深いカレーの世界を、一緒にのぞいてみませんか?
MOKUJI
カレーとは?
世界中で愛されているカレーは、スパイスを組み合わせて作られる多様な味わいが特徴の料理です。元々はインド発祥とされており、各国へ広がる中でその国の食文化と融合し、さまざまなバリエーションが生まれました。
17世紀にイギリスへ伝わり、18世紀末には市販のカレー粉も登場。日本には明治初期にイギリスから伝来したと言われています。日本では「ライスカレー」と呼ばれ、軍隊食や学校給食での採用されることで全国に普及していきました。日本独自のカレー製品開発も進み、現代では私たちの食生活に欠かせない定番メニューのひとつとなっています。
【北インド】カレー
北インドのカレーは、生クリームやバターなどの乳製品を活用したクリーミーでマイルドな味わいで比較的日本人にもなじみやすいものが多いです。
チキンやマトンなどの肉類を使用し、クミン、カルダモン、ターメリック、クローブ、シナモンといった多彩な香辛料でスパイシーさをプラス。また北インドは小麦の生産が盛んなため、チャパティやナン、ロティなどの小麦粉で作られたパン類とカレーを組み合わせて食べるのも特徴のひとつです。
バターチキンカレー
バターチキンカレーは、北インドを代表する人気料理のひとつです。チキンをヨーグルトとスパイスに漬け込んでタンドールで焼いたタンドリーチキンを、トマトとバターのリッチなソースで煮込んで作ります。クリーミーでまろやかな口当たりながら、スパイスの香りが豊かな一品です。やわらかく煮込まれたチキンとトマトの酸味、そしてバターのコクが絶妙なバランス。幅広い世代から愛されるカレーです。
パラクパニール
パラクパニールは、ほうれん草などの葉物野菜(パラク)とチーズ(パニール)を使った北インドの代表的なメニューです。鮮やかな緑色が特徴で、ほうれん草のペーストにスパイスを効かせ、角切りにしたパニールを加えて煮込みます。主なスパイスはクミン、コリアンダー、ガラムマサラなど。チーズのタンパク質とほうれん草のビタミンが豊富に含まれている栄養たっぷりなカレーです。
【南インド】カレー
南インドのカレーは、北インドのものと比べて辛さと酸味が特徴的です。ココナッツミルクを使用したものが多く、とろみは少なくスープ状。スパイスには唐辛子やマスタードシード、カレーリーフを使う場合が多く、さわやかな辛さを楽しめます。主食としてはライスが主流で、日本のお米とは違った細長い形状のパラっとした炊きあがりのライスにカレーをかけて食べます。
サンバルカレー
サンバルカレーは、南インドの定番カレーで、豆と野菜をたっぷり使った栄養満点の一品です。タマリンドの酸味が特徴で、トゥールダル(レンズ豆の一種)をベースに様々な野菜を加えて煮込みます。サンバルマサラと呼ばれる特製のスパイスミックスを使用するのが本格的な作り方です。朝食から夕食まで一日を通して食べられ、南インドの家庭では欠かせない存在です。
ラッサムカレー
ラッサムカレーは、南インドの代表的なスープカレーで、風邪を引いたときの滋養食としても重宝され、消化を助ける効果もあると言われています。タマリンドとトマトの酸味、黒胡椒の辛さが特徴で、サラサラとした軽い口当たりが魅力です。主なスパイスはマスタードシード、クミン、コリアンダー、アサフェティダなどで、仕上げにコリアンダーリーフを散らすこともあります。ご飯にかけて食べるだけでなく、スープとして単体で楽しむこともできる万能カレーです。
【タイ】カレー
タイのカレーは、ココナッツミルクの甘さとハーブの爽やかさが特徴です。唐辛子、ガランガル、レモングラス、ナンプラーなどの香り高い食材を使用し、複雑で奥深い味わいを生み出します。タイカレーには「グリーン」「レッド」「イエロー」の3種類があり、それぞれ使われる唐辛子の種類や量によって、辛さや色合いが変わります。
グリーンカレー
グリーンカレーはタイを代表する鮮やかな緑色のカレーで、日本でもタイ料理店やカフェなどで人気があります。緑唐辛子、レモングラス、ガランガル、コリアンダーなどを使ったペーストを、ココナッツミルクで煮込んだカレーは、辛さと甘さのバランスが絶妙。ハーブの爽やかな香りが特徴的です。具材には鶏肉や茄子、タイのナスなどが一般的で、バイマックルー(プチトマトに似た小さな野菜)を加えることもあります。
マッサマンカレー
マッサマンカレーは、タイ南部発祥のカレーで、イスラム圏の影響を受けた独特の味わいが特徴です。じゃがいも、玉ねぎ、ピーナッツなどを牛肉(または鶏肉)と一緒にじっくり煮込んで作られます。スパイスはクミンシード、シナモン、カルダモンなど、中東由来のものを多く使うのが特徴。甘み、酸味、スパイシーさのバランスが絶妙で、タイのカレーの中では比較的マイルドな口当たりです。
「The world’s 50 best foods(世界で最も美味しい料理50)」で1位に選ばれたこともある、世界的に評価の高いカレーです。
【スリランカ】カレー
スリランカのカレーは、香辛料の宝庫と呼ばれる島国ならではの、スパイスの豊かさが特徴です。
スパイスはホールタイプをその場でつぶして使用し、肉魚料理用にはローストしたものを、野菜料理には生のスパイスを使い分けます。また「モルジブフィッシュ」という日本のかつお節に似た干し魚が独特の風味付けに欠かせません。
一つの食事に複数種類のカレーを少量ずつ盛り付ける「カレーライス」スタイルが一般的です。スパイスが効いた味わいは日本人にとっては刺激が強いと感じるかもしれませんが、その複雑な味わいはカレー通を唸らせます。
【ネパール】カレー
ネパールのカレーは、インドとチベットの食文化が融合した独自の味わいを持っています。高地の国ならではのハーブやスパイスを使い、シンプルながらも深みのある味わいが特徴です。また寒い地域であるため、身体を温めるためにニンニクを使用したメニューも多いです。
代表的なカレーには、「ダルバート」と呼ばれるレンズ豆のカレーがあります。その他「ククラレピャジタレコ」(ネパール式チキンカレー)や「ラムブトゥワ」(ラム肉のカレー)、「モモ」(蒸し餃子)なども有名。
あっさりとしていて辛さ控えめなカレーが多く、日本人の口にも合いやすいのが魅力です。
【パキスタン】カレー
パキスタンでは、暑い気候に適応した水分の多いスープ状のカレーが中心の食文化が発達しています。ナンやロティといったパン類を合わせて食べることが多く、カレーをすくって食べるのが一般的です。
パキスタンのカレーは肉料理が中心で、北インドのカレーと似ていますが、より肉の旨みを活かした濃厚な味わいが特徴。羊肉や牛肉を使ったリッチな味わいのカレーが多く、クリーミーな「コルマ」やチキンを使った「ムルギ」が有名です。
スパイスはターメリック、クミン、コリアンダーなどを基本に、独自のブレンドで香り高く仕上げます。近年は健康意識から辛さを控える傾向にあり、「デシ・ヒクマ」と呼ばれる伝統医学に基づいたスパイスの薬効も日常的に活用されています。
【ミャンマー】カレー
ミャンマーのカレーは、インド、中国、タイの食文化の影響を受けた折衷的な味わいが特徴です。玉ねぎやトマト、ニンニクとスパイス類をたっぷりの油で炒めてから肉や魚を煮込みます。油をたっぷり使う調理法が多く、具材の旨みを油に移して味わうのがミャンマー流です。
ミャンマーでは煮込み料理やおかずを「ヒン(Hin)」と呼び、そのままカレーを表すことも。鶏肉、魚、豆などを使ったバリエーションがあります。スパイスはターメリック、唐辛子、ショウガなどをベースに使いますが、インドほど複雑なスパイスミックスは使いません。日本ではまだあまり知られていないミャンマーカレーですが、その独特の風味は新しいカレー体験を提供してくれるでしょう。
世界各国のカレーを楽しもう
世界各国のカレーを見てきましたが、それぞれの国や地域によって個性が光るものばかり。カレーは単なる料理ではなく、その国の歴史や文化を映し出す鏡でもあります。ぜひ今回ご紹介したさまざまなカレーを実際に食べ比べてみて、あなた好みの一品を見つけてみてください。
また、家庭でも挑戦しやすいカレーもありますので、市販のスパイスミックスやペーストを活用して、世界のカレー旅行を楽しんでみてはいかがでしょうか。カレーの奥深い世界を知れば知るほど、その魅力にきっと取りつかれることでしょう。

ななこ
「伝わる」「感じる」文章をお届けするフリーランスライター。美容や健康に気を使いたいお年頃。美味しいものとNetflixが大好きなインドア派ママです。