Jun 26, 2025
【医師監修】夏に冷える原因とは?冷え対策・症状・予防法を解説

エアコンの温度を下げたり、冷たい飲み物を飲んだりと、暑さ対策に気を取られがちな夏。その一方でおなかや手足は常に冷えていたり、体調を崩したりする人も多いでしょう。
この記事では、浅草橋西口クリニックMoの峯 陽子先生監修のもと、夏の冷え性の症状や原因、今すぐできる冷え対策を紹介します。できそうなことから少しずつ始めて、元気に夏を乗り越えていきましょう。
MOKUJI
実は多い!夏に冷えやすい人の特徴とは
「冷え性」というと寒い季節に起こるものというイメージがありますが、実は夏でも冷えに悩んでいる人は多くいます。夏の冷え性とは、気温が高いはずの季節にもかかわらず、手足やおなか、腰まわりなどが冷たく感じる状態のこと。特に女性は筋肉量が少ないことから熱を生み出しにくく、さらに女性ホルモンのひとつである「プロゲステロン」の影響で体内に水分をためこみやすいため、冷えを感じやすいといわれています。
冷え性は、血流や自律神経の乱れを招くだけでなく、代謝や免疫力の低下にもつながるなど、まさに“万病のもと”。手足の冷えはもちろん、足のむくみ、肌トラブル、肩こりや顔のほてりなど、一見すると冷えとは関係なさそうな不調まで、実は冷えが関係しているケースも少なくありません。
特に内臓の冷えは自覚しづらいため、「なんとなく調子が悪いな」と感じている方は、知らず知らずのうちに冷えが進んでいる可能性も。気になる不調があれば、「いつものことだから」と見過ごさず、早めにケアしてあげることが大切です。
夏でも手足が冷たい・だるい・眠れない…これって冷え?
「夏だから冷えとは無縁」と思っていませんか?実は、冷房の効いた室内や冷たい飲食物の影響で、夏でも体の深部が冷えてしまう「夏の冷え性」に悩む人は少なくありません。手足の冷えや慢性的なだるさ、寝つきの悪さなどは、夏冷えのサインかもしれません。
あなたは当てはまる?セルフチェックでわかる「夏の冷え」
夏の冷え性は、自覚しづらいのが特徴です。「暑いから冷えてるはずがない」と思ってしまいがちですが、実は身体の深部が冷えて不調を感じている場合もあります。
まずは以下のチェックリストで、自分の身体が冷えているか確認しましょう。
□だるさを感じる
□便秘や下痢になりやすい
□重い生理痛や生理不順がある
□むくみが気になる
□疲れているのになかなか眠れない
□よく夜中に目が覚める
□目の下のクマやくすみが気になる
□肌が乾燥してカサついている
□首や肩、背中がこりやすい
□おなかに触れると冷たく感じる
□胃もたれがする、胃に痛みを感じる
□手足は冷たいのに顔がほてる
□頭痛がする
3つ以上当てはまる場合は、隠れ冷え性の可能性があります。後半で紹介する改善策を参考に、身体を内側からしっかり温めましょう。
冷えとホルモンバランスの関係にも注目
女性はホルモンバランスの影響を受けやすく、特に生理前や更年期の時期は冷えを感じやすい傾向があります。ホルモンバランスが乱れると、自律神経の働きも不安定になり、さらに冷えを引き起こすという悪循環に。冷え対策は、単に「体を温める」だけではなく、自律神経やホルモンのリズムを整えることも大切です。まずは無理のない範囲で、体をいたわる習慣を取り入れてみましょう。
夏でも冷えてしまう原因とは?
そもそも、なぜ暑い夏に身体が冷えるのでしょうか。夏の冷え性は、さまざまな要素が絡み合って生じる夏特有の症状です。ここでは、夏の冷え性の主な原因を4つ説明します。
冷房による温度差が引き起こす「自律神経の乱れ」
屋外と室内との温度差が大きいと身体に負担がかかり、体温調節を行う自律神経のバランスが乱れます。身体が対応できる温度差は約7℃までといわれており、それ以上の気温差がある場所を何度も行き来すると自律神経の乱れによって血流が悪化し、手足の冷えやむくみ、不眠や胃腸の不調などにつながります。場合によっては、手足は冷たいのに顔がほてる「冷えのぼせ」やイライラ、やる気が出ないなどの不調が現れることもあるでしょう。
冷たい飲み物・食べ物のとりすぎが内臓を冷やす
暑い日は冷たいアイスやキンキンに冷えた飲み物が恋しくなりますよね。でも、冷たいものをとりすぎると内臓が冷えてしまい、血流が悪化。消化機能の低下や食欲不振、代謝の低下を招き、結果的に体の不調につながります。また、内臓の温度が1℃下がると、免疫力が30%以上も下がるともいわれており、風邪やウイルスへの抵抗力も弱まってしまいます。冷たいものはほどほどに、体にやさしい選び方を心がけたいですね。
運動不足で血流が低下し、冷えやすい体に
うだるような暑さが続く夏は、外に出るのが億劫になり、つい涼しい室内でじっと過ごしがち。過ごしやすい季節に比べて運動量も減りますが、運動不足は代謝を低下させ、血液の巡りを悪くします。また、運動量が減れば筋肉量もおのずと減少。筋肉が落ちることで体内の熱生産がうまくいかなくなり、冷え体質になってしまうケースも少なくありません。
薄着・素足ファッションも実は冷えの原因に
ノースリーブやミニスカート、素足にサンダルなど、肌の露出が増えるファッションは見た目以上に冷えを招きます。特に足元は“冷えの入り口”。冷房の効いた場所に出かけるときは、羽織りものやストール、靴下をバッグに忍ばせておくと安心です。
今日からできる!夏の冷え対策6選
暑い夏だからこそ、私たちの身体は知らないうちに冷えてしまいます。ここでは、すぐに実践できる夏の冷えの予防・改善策をご紹介。生活の中にうまく取り入れて、冷えによる不調を無くしましょう。
冷房は「設定温度」と「風向き」を見直す
夏場の冷房は熱中症や夏バテ対策のために欠かせません。とはいえ、設定温度を下げ過ぎたり、屋外との気温差があり過ぎたりすると、かえって体調不良を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
冷房の設定温度は「26~28℃」をひとつの目安に。冷気が直接体に当たらないように風向きを調整して、身体に負担をかけないよう心がけましょう。冷房をつけっぱなしにしていると寒さを感じにくくなり、体温調節機能が鈍くなることも。ときどき窓を開けて換気するのも忘れずに。
オフィスなどでは膝掛けやカーディガンを常備し、自分で調節できる環境づくりを意識すると安心です。
「3つの首」を温めて、体感温度をキープ
職場や外出先など自由に温度調節ができない環境では、カーディガンやひざ掛け、ストール、靴下、レッグウォーマーなどを活用しましょう。
特に意識して温めたいのは、「首・手首・足首」の3つの首です。この3カ所は筋肉や脂肪が少なく、皮膚のすぐ下に太い血管が通っているので、優先的に温めることで全身の冷えを防げます。
締め付けが強すぎるものは血流を妨げるので、ゆったりとした着用感のアイテムを選ぶのがポイント。シルクなど吸湿性・保温性に優れた素材は蒸れにくく、夏でも快適に使えるおすすめの素材です。
温かい飲み物や常温水を意識的にとろう
暑い日にはついつい冷たい飲み物を選びがちですが、身体の中から冷えを招く原因に。飲み物はなるべく常温か温かいものを選びましょう。
トマトやナスなどの夏野菜、バナナやマンゴーなど南国の果物、白砂糖や食品添加物、コーヒーや緑茶などは体を冷やす効果があり、一方しょうがやにんにく、肉、魚、発酵食品、かぼちゃなどは体を温めてくれる性質があります。身体を冷やす食べものを摂取する場合は、なるべく身体を温める食べものと一緒にしたり、加熱して温めたりすると良いでしょう。 スパイス白湯に注目!どんな効果があるの?作り方やおすすめの組み合わせを紹介
朝昼晩のバランスのとれた食事で代謝アップ
食欲が落ちがちな夏だからこそ、食事は3食きちんと食べましょう。食べ物から摂取した栄養素は肝臓などで代謝され、エネルギーを産生して熱を作ります。冷えにくい身体を作るには、熱エネルギーを十分作り出せるよう、栄養バランスの整った食事を摂ることが大切です。
特に朝食を抜いてしまうと、寝ている間に下がった体温をうまく上げられません。体温が低くなると基礎代謝が減って痩せにくい身体になり、集中力や記憶力も低下します。朝からしっかり食べられないという人は、ヨーグルトや豆乳などタンパク質が豊富で軽いものを食べるのがおすすめです。
ストレッチや軽い運動で血流改善
冷え性の人は、長時間じっとしていると筋肉がこわばり、末端まで血液が届きにくくなります。デスクワーク中や移動中でも、軽く体を動かす習慣をつけましょう。
足の指でグー・チョキ・パーを作る体操や、手の指を軽くつまんで刺激する「指ヨガ」なども効果的。空いた時間にできる簡単な運動で、手足の血行を促しましょう。また、ふくらはぎをマッサージしたり、さするだけでも血流アップに◎。寝る前やお風呂上がりなど、リラックスタイムに取り入れるのがおすすめです。 【監修記事】足先の冷えを治す方法は?原因と効果的な対策方法を知って悩みを解消しよう
ぬるめのお風呂でリラックス&代謝アップ
暑い夏はシャワーだけで済ませがちですが、ぬるめの湯船にゆっくり浸かることで副交感神経が優位になり、心身ともにリラックス。38〜40度のぬるめのお湯で15〜20分程度の入浴が冷え対策に最適です。熱いお湯は交感神経が優位になってしまい身体が緊張状態になってしまうので、冷え性だからと温度を上げすぎないようにしましょう。湯船に浸かるのが苦手な人は、じんわり身体が温まる半身浴もおすすめです。
なお、バスソルトに含まれるミネラルには血行を促進する作用があるといわれています。発汗を促し新陳代謝もアップしてくれるので、美肌効果やダイエット効果も期待できます。
体の内側からできる夏の冷え対策とは?
夏冷えに効く食材と栄養素
体を温めるしょうが・にんにく・ねぎなどの薬味類、血流を促す鉄・ビタミンE、筋肉をつくるたんぱく質などを意識的に取り入れましょう。味噌汁やスープなど、温かいメニューで摂るのが理想です。
温活アイテムを味方に
腹巻き、温熱シート、レッグウォーマーなどの温活アイテムは、冷えやすい部分をピンポイントで温めてくれる便利グッズ。特にお腹や足元は、冷えると全身に影響するため、重点的にケアしましょう。
睡眠とストレスケアも“冷え改善”には大事な要素
冷えの改善には、自律神経を整えることが大切。質の良い睡眠をとり、ストレスを溜め込まない生活を心がけましょう。スマホは寝る前に手放し、ハーブティーや深呼吸でリラックスする時間を持つのもおすすめです。
夏冷えは秋バテを引き起こす?
夏の冷えを放っておくと、秋に体調不良として現れる「秋バテ」の原因になることも。クーラーによる室内外の温度差、自律神経の乱れが続くと、秋にだるさや不調が一気に表れやすくなります。
今のうちから冷え対策をしっかり行い、秋に元気な自分でいられるように備えておきましょう。 【医師監修】秋バテの主な症状と原因とは?日常生活でできる対処法について解説
夏だからこそ冷えに気をつけよう
冷えとは無縁に思える夏ですが、冷房や冷たい食べ物の摂り過ぎは隠れ冷え性を引き起こします。特に職場や通勤電車の中では設定温度が低すぎて、冷えによる体調不良に悩む人も少なくありません。ぜひ今回の内容を参考にセルフケアを習慣化して、夏の冷え性を改善してみてはいかがでしょうか。

峯 陽子
浅草橋西口クリニックMo医師
大学病院で乳癌診療を、町のクリニックで内科や皮膚科、訪問診療を行っている。仕事柄、女性のウィメンズヘルスに詳しく多くの患者に寄り添いよりよい医療を提供することを心掛けている。