Aug 12, 2025
曲げわっぱの正しい手入れ方法|洗い方から黒ずみ・カビ対策までわかりやすく紹介

お弁当箱として人気の曲げわっぱ。見た目の美しさはもちろん、ご飯やおかずの美味しさを長く保てる優れものです。ただし、一般的なお弁当箱よりも価格が高いため、正しい手入れを知って長く愛用したいですよね。
実は曲げわっぱには「無塗装(白木)」「漆塗り」「ウレタン塗装」の3種類があり、それぞれにお手入れ方法が異なります。この記事では、種類別の正しい洗い方と、うっかりトラブルが起きたときの対処法まで丁寧に解説します。
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曲げわっぱの3つの種類と特徴
曲げわっぱは「無塗装」「漆塗り」「ウレタン塗装」と、主に3種類に分けられます。それぞれの特徴を紹介します。
無塗装(白木)|木の香りとご飯の美味しさが格別
無塗装は塗装をせず、素材そのままの状態。「白木」とも呼ばれ、杉や檜など天然木の香りや木目を楽しめます。吸湿性が高く、ご飯が冷めてもふっくらした美味しさを保てるのが魅力。ただし、水や油を吸いやすくカビや黒ずみが発生しやすいため、曲げわっぱの中でも特に丁寧なケアが必要です。初心者だと難しいと感じる可能性もあります。
漆塗り|耐久性があり洗剤も使える
漆塗りは、白木の曲げわっぱに漆を塗ったタイプ。色付きの漆を使用し木目が隠れる「本塗り」と、透明な漆を使い木目がそのまま見える「拭き塗り」の2種類があります。無塗装よりもお手入れが簡単ですが、少し価格が高いものも多いです。
漆には抗菌作用があり衛生面でも安心。無塗装よりお手入れが簡単で、中性洗剤で洗えるため日常使いに最適です。使い込むほど艶が増し、長期的に曲げわっぱを使いたい人におすすめ。
ウレタン塗装|手入れが簡単で初心者向き
ウレタン塗装は、白木の曲げわっぱにウレタン樹脂でコーティングしたものです。見た目は無塗装とほとんど変わりませんが、汚れが付きにくくお手入れが簡単です。木の匂いや調湿機能はありませんが、値段が安く気軽に曲げわっぱを試してみたい人におすすめです。水や油にも強く、初めて曲げわっぱを使う方やお手入れに時間をかけられない人におすすめです。
【種類別】曲げわっぱの正しい洗い方
曲げわっぱは、塗装の種類によって洗い方が異なります。長く大切に使い続けるために、正しい洗い方を知っておきましょう。
無塗装の場合
<手順>
- ぬるま湯で曲げわっぱの表面に付いている汚れを落とす
- 洗剤を付けていないスポンジでこする
- ぬるま湯ですすぐ
- 布で水分を拭き取り、十分に乾燥させる
無塗装の曲げわっぱは洗剤を使うと木に成分が染み込みやすいため、基本的には使いません。どうしても汚れや色シミが気になる場合は、クエン酸を溶かしいれてよくすすぎましょう。また、無塗装の曲げわっぱを完全に乾かすには約1日必要で、乾ききる前に閉まってしまうとカビの原因となるので注意しましょう。
漆塗りの場合
<手順>
- ぬるま湯で曲げわっぱの表面に付いている汚れを落とす
- 中性洗剤を付けて、スポンジで優しくこする
- ぬるま湯ですすぐ
- 布で水分を拭き取り、十分に乾燥させる
漆塗りの曲げわっぱは洗剤を使って洗うことができ、無塗装よりはご飯のこびり付きや油の染み込みが少ないです。一方、表面が柔らかく傷つきやすいので、フォークやお箸などの先のとがったもので傷を付けないようにしましょう。また強い洗剤やタワシは漆を傷める原因になるため避けたほうがベター。洗った後はすぐに布巾で水分を拭き取り、自然乾燥させます。
ウレタン塗装の場合
<手順>
- 水で曲げわっぱの表面に付いている汚れを落とす
- 中性洗剤を付けて、スポンジでこすってすすぐ
- 布で水分を拭き取り、十分に乾燥させる
ウレタン塗装の曲げわっぱは、普通のお弁当と同じようにお手入れをすればOK。ただし、塗装部分が全面ではなく一部の場合は、無塗装の曲げわっぱと同じようにお手入れをしてくださいね。耐久性は高いですが、長時間の浸け置きは変形や塗装の劣化を招くため控えましょう。
曲げわっぱを長持ちさせるための手入れポイント
曲げわっぱを長く愛用するために、使用方法の注意点を紹介します。
使い始める前の準備
曲げわっぱは天然の木でできているので、購入したばかりの時は木特有の香りや成分があります。天然成分なので体に害はありませんが、中に入れるご飯に香りや色が移る場合があるので、数回水で洗いましょう。数回使ううちに段々気にならなくなっていきますが、どうしても気になる場合は、曲げわっぱに70℃のお湯を張って捨てることを数回繰り返して対策をしましょう。
使い終わったらすぐに洗う
曲げわっぱの塗装の有無に関わらず、使い終わったらすぐに洗う必要があります。無塗装の場合は洗剤を使うのはNG。漆やウレタンの塗装がある場合は洗剤を使えます。ただし、食洗機や乾燥機を使うと、木材が縮んで変形の原因となってしまいます。また、お弁当箱を持ち帰るのを忘れて1日放置してしまうと、カビが生えてしまうこともあるので注意しましょう。
水分を残さずしっかり乾燥
曲げわっぱを洗い終わったら、布巾で水分を拭き取り、十分に乾燥させましょう。乾燥させるときは下向きにしてしまうと、底に湿気がたまりやすいので、上向きか横向きがおすすめです。洗い終わった後に40~60℃のお湯をかけると、気化熱で乾燥が早くなります。
毎日使いは避けて休ませる
曲げわっぱを完全に乾かすには約1日かかるといわれています。そのため、毎日使おうとすると、乾ききる前に使うことになり、黒ずみができやすくなってしまいます。できれば毎日使うのではなく、一日おきなど適度に休ませながら使うのがおすすめです。
曲げわっぱのトラブル別お手入れ法
曲げわっぱを使っていると、気になる変化やトラブルが起きることがあります。ここでは代表的なトラブル別に正しいお手入れ方法をご紹介します。
黒ずみが出たときは酢水でケア
曲げわっぱに黒ずみができてしまう原因は、木に含まれるタンニンとお米・野菜・卵などのアルカリ性食品による化学反応です。健康面で問題はありませんが、見た目が気になるときはケアがおすすめです。水に酢かクエン酸を混ぜ、曲げわっぱに入れて30分ほど放置しすすぐと、黒ずみが薄くなります。
カビ対策はとにかく乾燥
洗うのを忘れてしまったり、完全に乾燥する前にしまい込んでしまったりすると、カビが生えてしまうことがあります。カビが生えてしまったら、お湯に付けてからクレンザーで洗ってみましょう。塗装がある曲げわっぱならカビが奥深くまで入り込みにくいので、すぐに対処すれば間に合う可能性が高いです。一方で無塗装の曲げわっぱは、一度カビが生えてしまうと木の奥までカビが入り込んで根を張ってしまうことが多いので、普段からカビ対策をしっかりしておきましょう。
ニオイ取りは重曹・お茶が効果的
曲げわっぱにおかずのニオイが付いてしまった時は、緑茶が効果的です。緑茶に含まれるカテキンには消臭効果があり、嫌なニオイを取ることができます。曲げわっぱの中に茶葉を入れてお湯を注ぎしばらく置いておきます。何度か新しいお茶と入れ替えるとニオイが和らぎます。最後にしっかり乾燥させれば、気になるニオイもスッキリ解消。
それでもどうしてもカビやニオイが気になる場合は、曲げわっぱを購入したお店に相談してみてください。プロならではのお手入れや修理で、曲げわっぱをよい状態に戻してもらえることもあります。
曲げわっぱのお手入れQ&A
曲げわっぱ弁当の詰め方のコツは?
曲げわっぱにお弁当を詰めるときは、ご飯やおかずは必ず冷ましてから入れましょう。温かいままだと水分がこもり、カビや傷みの原因になります。油っぽいおかずや煮物は、キッチンペーパーで水分・油分を拭き取り、葉物などを敷くとシミ防止に。おかずは大きいものから順に、中、小と重ねると見た目もきれい。赤・緑・黄・白・黒を意識すると彩りもバッチリです。
洗うのを忘れたときのリカバリー方法
うっかり洗い忘れた曲げわっぱは、40℃程度のぬるま湯に10〜15分浸けて汚れをやわらかくします。長時間の浸け置きや熱湯は、反りや割れの原因になるのでNG。汚れが落ちやすくなったら、やわらかいスポンジで優しく洗いましょう。洗剤は少なめにして木の風合いを守るのがポイントです。
曲げわっぱを電子レンジにかけても大丈夫?
基本的に曲げわっぱは電子レンジ非対応。高温で木が割れたり塗装が傷む恐れがあります。温める場合は中身を耐熱容器に移し替えましょう。最近は電子レンジ対応タイプも登場しているので、購入時にチェックしておくと安心です。
冷蔵庫で曲げわっぱを保存しても大丈夫?
長時間の冷蔵庫保存は木が乾燥して反りやヒビの原因に。入れる場合は短時間&ハンカチや巾着で包むと乾燥を防げます。夏場は保冷剤や保冷バッグを併用すると安心。天然素材の曲げわっぱは保温・保湿力があるので、常温でも美味しさを保てます。
まとめ|正しい手入れで曲げわっぱは一生ものに
曲げわっぱは種類によってお手入れ方法が異なりますが、基本は「使ったらすぐ洗い、しっかり乾燥させる」ことが長持ちの秘訣です。トラブルがあっても適切なケアで美しさをキープできます。
正しい手入れでお気に入りの曲げわっぱを長く愛用し、美味しいお弁当時間を楽しみましょう。


古泉葵
2020年よりフリーランスとして活動中のWebライター。趣味は読書と手芸と料理。食べ歩きも好きで、夫婦で旅行に出かけることが好きです。