Jul 01, 2026
【7月におすすめの本】涼しい部屋で楽しむ夏の読書リスト|この時期ならではの読書法も紹介
日差しが一段と強まり、夏の訪れを肌で感じる7月。海や山へのレジャーも楽しみな季節ですが、冷房の効いた涼しい部屋でゆったりと読書にふけるのも、この時季ならではの贅沢な時間です。外の暑さを忘れて物語の世界へ深く潜り込む読書時間が、気持ちを切り替えるきっかけになるかもしれません。
今回紹介する本は、暑い夏にこそ読みたくなる、心揺さぶる作品やベストセラーを含む5冊です。お気に入りの冷たい飲み物を用意して、現実から少しだけ離れた特別な日常を楽しんでくださいね。
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MOKUJI
7月におすすめの本
「前科者」涌井学

7月1日は「更生保護の日」。罪を犯した人の立ち直りや、犯罪・非行を防ぐための理解を深める日として制定されています。更生保護の日におすすめしたい一冊が、涌井学『前科者』です。タイトルから重たく難しい作品をイメージする人もいるかもしれません。しかし『前科者』は、単なる犯罪小説ではなく、人がもう一度人生をやり直そうともがく姿を丁寧に描いた、再生の物語です。
『前科者』の主人公は、保護司として働く阿川佳代。保護司とは過ちを犯した人の日常に寄り添い、更生を助けるボランティアの国家公務員です。佳代が担当する工藤誠は、真面目に働き、順調な回復を見せていました。しかし、自立まであと一歩というところで誠は姿を消し、時を同じくして不可解な事件が動き出します。
『前科者』を読むと「罪を犯した人」と「普通に暮らしている人」の境界は本当に遠いものなのかと考えさせられます。過去の経験や環境、誰にも言えない問題を抱えながら生きている登場人物たちの姿には、思わず共感する場面も少なくありません。社会から一度はみ出してしまった人を、私たちはどこまで受け入れられるのか。重いテーマを扱いながらも、ただ暗いだけでは終わらないところが『前科者』の大きな魅力です。
映画化もされ、話題となったこちらの作品。読むほどに“更生”とは何かを考えさせられる、深い余韻が残る一冊です。『前科者』は社会派作品が好きな人はもちろん、人間ドラマにじっくり浸りたい夏の読書にもおすすめです。
「サラダ記念日」俵万智

7月6日は「サラダ記念日」。俵万智の歌集『サラダ記念日』に収録された“「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日”という有名な短歌に由来しています。俵万智の何気ない一言を記念日に変えてしまう感性は、時代を超えて多くの人の心をつかみ続けています。
『サラダ記念日』は、従来の短歌のイメージを大きく変えたベストセラー作品です。難しい古典表現ではなく、普段の会話のような自然な言葉で紡がれているため、短歌に馴染みがない人でも驚くほど読みやすいのが特徴。恋愛や、仕事、孤独、日常のささやかな幸せなど、誰もが経験したことのある感情が短歌の中に鮮やかに閉じ込められています。
特別な出来事ではなく日常のワンシーンが宝物のように切り取られているからこそ、読者それぞれの過去の記憶や感覚と自然に重なり、物語ではないのに強い没入感を味わえるのかもしれません。
『サラダ記念日』は教科書にも掲載され、多くの人に馴染みがある作品なのではないでしょうか。大人になって読み直してみれば、また違った気づきが得られるかもしれません。
短歌というジャンルに苦手意識がある人にもぜひ読んでほしい作品です。暑い夏の日、冷たいサラダを食べながらページをめくると、何気ない毎日が少し愛おしく見えてくるかもしれません。
「ひまわり」新川帆立

夏の花といえば、太陽に向かって真っすぐに咲くひまわり。7月14日は、気象衛星ひまわりの打ち上げを記念した「ひまわりの日」です。衛星の動きが植物のひまわりが太陽の方向を向く性質と似ていることから、衛星の名前に採用されたのだとか。この日にぴったりな作品が、新川帆立『ひまわり』。読む人の心をまっすぐ照らすような、力強い希望の物語です。
主人公のひまりは、食べることもおしゃべりも大好きな33歳の女性。しかし不慮の事故により頸髄を損傷し、首から下の自由を失ってしまいます。昨日までの日常が突然奪われ、突きつけられるのは退職という厳しい現実。途方に暮れるひまりが出した答えは、言葉を武器に戦う弁護士を目指すことでした。
鉛筆も持てない、本も開けないという過酷な状況下での司法試験。次々と立ちはだかる困難に、読んでいるこちらも「ひまりならできるよ!」と心の中で何度もエールを送らずにはいられません。物語の展開にハラハラしながらも、自分の足で人生を切り拓こうとするひまりの姿に力をもらえます。
道がないなら自分でつくればいいという姿勢にはっと気づかされることもあるのではないでしょうか。逆境にあっても自分を諦めないひまりの輝きは、まるで7月の空に咲く大輪のひまわりのよう。『ひまわり』は今、何か壁にぶつかっている人や、背中を押してほしい人に、ぜひおすすめしたい作品です。
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「代筆屋」辻仁成

7月23日は「ふみの日」。メールやメッセージアプリが当たり前になった今だからこそ、手紙のぬくもりを改めて感じたくなる日です。「ふみの日」にぴったりな作品が、辻仁成『代筆屋』。人に言えない想いや、うまく言葉にできない感情を“手紙”という形で届けていく、やさしくも奥深い短編集です。
『代筆屋』の舞台はカフェ「レオナルド」。小説家の私は、口コミで広がった「代筆屋」として、さまざまな依頼人の手紙を書いています。恋人に想いを伝えたい青年や、人生の節目を迎えた老女、謝れないまま時間だけが過ぎてしまった人──。依頼内容はそれぞれ違いますが、どの手紙にも「本当はちゃんと伝えたかった」という切実な気持ちが込められています。
『代筆屋』を読み進めるうちに、普段は言葉にしない感情や、自分の中にしまい込んでいた想いまで静かに浮かび上がってきます。手紙は誰かに届けるための文章でありながら、同時に自分を見つめ直す時間にもなっているのです。
読み終わったあと、大切な人に手紙を書きたくなるようなこちらの作品。いい手紙は人生を変える力をもっています。SNSに追われる日常を少しだけお休みして、ゆったりとした時間の流れに身をゆだねてみませんか?
「江戸川乱歩名作選」江戸川乱歩

7月28日は、日本ミステリー界の父・江戸川乱歩を偲ぶ「乱歩の日」です。江戸川乱歩の命日にちなんだこの日は、巨匠が築いた怪奇と幻想の世界にどっぷりと浸るのに最適な夜といえます。
「江戸川乱歩名作選」は、乱歩の膨大な作品群の中から、選りすぐりの7編を収録した傑作選です。絶世の美女に翻弄される兄弟の運命を描いた「押絵と旅する男」や、戦慄の美しさが漂う「石榴」など、読者をめくるめく迷宮へと誘います。単なる謎解きにとどまらない人間の内側に潜む問題や、妖艶でエロティックな描写は、時代を超えて読む人を惹きつける魔力をもっています。
これぞ江戸川乱歩の真骨頂といえるような作品が詰まったこちらの一冊。ミステリーというジャンルの礎を築いた江戸川乱歩の名作たちは、今なお色褪せることがありません。乱歩が仕掛けた甘美な罠に、はまってみてはいかがでしょうか?
「まいにちがプレゼント」いもとようこ作・絵

7月7日は「ギフトの日」。大切な人へ想いを届ける日として知られています。そんな日に読みたい絵本が、いもとようこ『まいにちがプレゼント』。やさしい言葉とあたたかな絵に包まれながら、今を生きることの大切さをそっと教えてくれる作品です。
『まいにちがプレゼント』の物語は、毎日やってくる今日は、昨日とは違う特別な一日なのだと語りかけるところから始まります。同じように見える空も風も、昨日とは少し違う。時間は止まることなく流れていて、今この瞬間は二度と戻らない──。
シンプルな内容ながら、忙しい毎日の中で忘れがちな感覚をやさしく思い出させてくれます。タイトルにある“プレゼント”には、「贈り物」だけではなく、「現在」という意味も込められています。その視点に気づいた瞬間、何気なく過ぎていく日常が少し愛おしく感じられるはずです。
大人だからこそぐっとくるものがあるこちらの絵本。心があたたまるような言葉が詰まっていて、読むだけで気持ちが軽くなるかもしれません。慌ただしい毎日に少し疲れたときこそ、ゆっくりページをめくりながら、今という時間を味わってみてくださいね。
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7月におすすめの読書法
初夏ならではの読書方法を楽しんではいかがでしょうか。夏の到来を感じられる読書時間の過ごし方を3つご紹介します。
朝顔を眺めながら読書

7月の朝は、朝顔がいちばんきれいに咲く時間。涼しいうちに窓を開けて、色とりどりの花を眺めながら本を開いてみませんか。朝のやわらかな光に照らされた朝顔は、見ているだけで気持ちを穏やかにしてくれます。静かな空気の中でページをめくる時間は、一日の始まりを少しだけ特別なものにしてくれるでしょう。
朝顔は、お昼を過ぎるころにはしぼんでしまう花だからこそ、その美しさは一時だけのもの。そんな限られた時間を楽しみながら読む一冊は、いつもより心に残ることでしょう。
早起きした日のちょっとしたご褒美として、朝顔とともに夏の朝の読書時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
冷たいラムネを飲みながら読書

夏になると飲みたくなるラムネ。ビー玉を押し込む「ポンッ」という音を聞くだけで、夏が始まったような気分になりますよね。
よく冷えたラムネを片手に本を開けば、しゅわっと爽やかな炭酸が暑さを忘れさせてくれます。ページをめくる合間にひと口飲めば、気分もすっきり。軽やかなエッセイや短編集などをのんびり楽しむのにもぴったりです。
どこか懐かしいラムネの味わいは、子どものころの夏休みを思い出させてくれることも。物語と一緒に、夏ならではの思い出までよみがえってくるかもしれません。
涼しい部屋でラムネを味わいながら、夏だけの読書時間をゆっくり楽しんでみてください。
蚊取り線香の香りに包まれながら読書

夕暮れどき、ゆっくりと立ちのぼる蚊取り線香の香り。どこか懐かしさを感じるその香りは、夏の訪れをそっと知らせてくれるようです。
縁側やベランダ、窓辺などで蚊取り線香を焚きながら本を開くと、時間がゆっくり流れていくような感覚に。遠くで聞こえるセミの声や風鈴の音が加われば、夏らしい風情をより一層感じられるでしょう。
慌ただしい毎日でも、本を読むほんのひとときだけは、何も考えず物語の世界へ。昔ながらの夏の香りに包まれながら過ごす時間は、心までほっと落ち着かせてくれます。暑い夏だからこそ味わえる、どこかノスタルジックな読書時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
おわりに

夏本番を迎える7月は、おでかけが増える一方で、おうち時間も大切にしたいところ。そんな日は、冷たい飲み物を用意して物語の世界へ入り込んでみませんか。
今回ご紹介した本は、人の優しさに触れられる物語や、背筋がひんやりするミステリー、心を前向きにしてくれる作品など、この季節だからこそ味わいたい一冊ばかり。朝顔が咲く朝に読んだり、ラムネを片手にページをめくったり、蚊取り線香の香りに夏を感じながら読んだりと、季節ならではの楽しみ方を取り入れるのもおすすめです。
夏の思い出に寄り添う一冊との出会いがありますように。気になる本があれば、ぜひこの7月に手に取ってみてくださいね。
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あまち
2022年よりフリーランスとして活動中のWebライター。現在は2児の母として育児と仕事を両立に奮闘中。趣味は家族とのレジャーや、カフェで過ごすひととき。





