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Jun 01, 2026

【6月におすすめの本】雨の日を少し楽しみに変えてくれる一冊|この時期ならではの読書法も紹介

梅雨の読書イメージ カエルの置物が本に乗せられている

しっとりとした雨に包まれる6月。外に出るのが少し億劫に感じる日も増え、自然とおうち時間が長くなる季節です。窓の外に落ちる雨音をBGMに、物語の世界へと入り込む時間は、この時季ならではの贅沢なひとときではないでしょうか。

どこか心が揺らぎやすい季節だからこそ、本の中でさまざまな感情に触れることで、自分の気持ちに気づいたり、そっと背中を押されたりすることもあります。

今回紹介するのは、そんな6月に寄り添う6冊。静かな余韻を残す物語から、ぞくりとする展開に引き込まれる作品、遠い世界へと連れ出してくれる一冊まで、雨の日の時間を豊かにしてくれるラインナップです。お気に入りの飲み物を片手に、心ほどける読書時間を楽しんでみてくださいね。Related【5月におすすめの本】外でも家でも楽しみたい初夏の1冊!この時期ならではの読書法も紹介
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6月におすすめの本

「教室に雨は降らない」伊岡瞬

「教室に雨は降らない」伊岡瞬
「教室に雨は降らない」伊岡瞬 KADOKAWA/角川文庫

梅雨の季節に手に取りたくなるのが、伊岡瞬の『教室に雨は降らない』です。心の奥にしとしとと降る見えない雨を描いた作品です。

 

『教室に雨は降らない』の主人公は、小学校で働く23歳の音楽臨時講師・森島巧。どこか流されるまま教師になった彼が、学校で起こるさまざまな問題に向き合っていきます。モンスターペアレントや、いじめ、無気力な教師、崩れていく学級。一見どこにでもありそうで決して軽くはない現実に、森島は戸惑いながらも踏み込んでいきます。

 

連作ミステリー形式でテンポよく読めるのも『教室に雨は降らない』の魅力のひとつ。1話ごとに異なる事件や悩みが描かれ、「次はどうなるの?」とページをめくる手が止まりません。子どもたちが発する小さなSOSや、大人たちが抱える不器用さが丁寧に描かれ、気づけば胸の奥にじんわりとした余韻が広がります。

 

完璧ではないからこそ人に寄り添える主人公の姿に共感し、心を動かされる人も。雨の続く日、静かに心を整えたいときにぴったりの一冊です。

「光秀の定理」垣根涼介

「光秀の定理」垣根涼介
「光秀の定理」垣根涼介 KADOKAWA/角川文庫

6月2日は「裏切りの日」。これは1582年、本能寺の変で明智光秀が織田信長を討った出来事に由来しています。そんな裏切りの象徴ともいえる人物・光秀の人生を、新たな視点で描いたのが垣根涼介の『光秀の定理』です。

 

『光秀の定理』はまだ名もなき浪人だった頃の光秀が、破戒僧の愚息と兵法者の新九郎に出会うところから始まります。やがて信長に仕え、戦国の表舞台へと駆け上がっていく光秀。しかしその裏側では、人の運命を分けるある定理が静かに働いていました。戦の勝敗や出世の裏にあるものは何か。なぜ人は成功し、あるいは滅びていくのか。『光秀の定理』ではそれを読み解いていきます。

 

『光秀の定理』はお堅い歴史小説と思いきや、登場人物たちの掛け合いが軽やかで、ぐいぐいと引き込まれる展開が魅力です。歴史小説でありながら現代にも通じる部分もあり、単なる史実の再現にとどまらない深みがあります。『光秀の定理』は光秀の裏切りの真実に迫りながら、人の生き方そのものを問いかけてくる一冊です。

「リング」鈴木光司

「リング」鈴木光司 KADOKAWA/角川ホラー文庫
「リング」鈴木光司 KADOKAWA/角川ホラー文庫

カレンダーの数字が「6」で重なる6月6日は、かつて欧米で不吉な数字とされたことに由来し「恐怖の日」と呼ばれています。そんな、いつもより少し肌寒く感じる雨の夜には、日本ホラーの金字塔である鈴木光司の『リング』を手に取ってみませんか。映像作品としての印象が強い『リング』ですが、原作小説に漂うじわじわとした静かな恐怖は、まさに大人のための極上ホラーです。

 

『リング』は1本のビデオテープを観た4人の少年少女が、同じ日の同じ時刻に謎の死を遂げるところから始まります。そのテープに映っていたものとは何か。真相を追うほどに、じわじわと逃れられない恐怖が迫ってきます。『リング』の魅力は、派手な恐怖描写に頼らず、静かに不安を積み重ねていく独特の空気感。

 

淡々とした文章なのに、気づけば背筋がひんやりとするような緊張感に包まれ、「次が気になる」とページをめくる手が止まらなくなります。呪い、映像、そしてウイルスのように広がる見えない恐怖が巧みに絡み合い、読者をじわじわと追い詰めていく構成も見事です。

 

細やかな情景描写から何度読んでも怖いと感じられ、完成度の高さが伺えます。単なるホラーにとどまらず、人の執念やつながりにも触れる奥行きがあり、読み終えたあともじんわりと余韻が残ります。雨音が響く夜にこそ浸りたい、ホラー作品です。

「月と蟹」道尾秀介

「月と蟹」道尾秀介
「月と蟹」道尾秀介 著/文春文庫

かに座が始まる日である6月22日は「かにの日」に制定されています。かにの日におすすめしたいのが、ヤドカリを神様に見立てた不思議な儀式から始まる道尾秀介の『月と蟹』です。

 

舞台は海の気配が漂う町。小学生の慎一と春也は、ヤドカミ様に願いごとをする遊びを思いつきます。最初はほんの些細な願いだったはずが、やがて心の奥に沈めていた本音や痛みがにじみ出し、物語は思いもよらない方向へと揺れていきます。

 

『月と蟹』の魅力は、子どもならではの無垢さと残酷さが紙一重で描かれていることです。親への複雑な感情、友達との距離感、言葉にできない不安や孤独――そんな揺れ動く心が、ひりつくほどリアルに迫ってきます。舞台となった鎌倉の潮の香りや夏の空気感も美しく、まるでその場にいるかのような没入感も印象的です。

 

子どもの繊細な心理描写や胸が締めつけられるような読後感もあり、静かでありながら深く心に残る作品として支持されています。やさしさと痛みが交錯するひと夏の記憶を、そっとすくい上げるような一冊です。Related鎌倉の絶品朝ごはんまとめ|和食からおしゃれカフェ飯までモーニングを楽しもう
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「雷と走る」千早茜

「雷と走る」千早茜
「雷と走る」千早茜 著/河出書房新社

6月29日は「雷の日」。平安時代、菅原道真の祟りとされた落雷が起きた出来事に由来するといわれています。突然すべてを揺るがす雷のように、抗えない運命や感情に翻弄される人の姿を重ねて読みたくなるのが、千早茜の『雷と走る』です。

 

主人公のまどかは、幼少期を海外で過ごした記憶を胸に抱えながら生きる女性。その記憶の中心にあるのが、番犬として出会った犬・虎の存在です。閉ざされた邸宅の中で育まれたまどかと虎の絆は、言葉を超えた確かなものでしたが、帰国という現実がふたりを引き離します。時間が経ってもなお消えない喪失感と、心の奥に残り続ける当時の感触。まどかはその記憶とどう向き合っていくのか――静かな物語の中に、確かな痛みと温もりが息づいています。

 

『雷と走る』の魅力は、うっとりするほど美しい筆致と表現力。異国の空気や光、肌に触れる風の温度まで感じられるような描写は、まるで自分自身の記憶のように心に入り込んできます。また動物を飼うことの意味も深く描かれており、読み進めるほどに考えさせられるでしょう。

 

美しさと切なさに終始引き込まれるようで、単なる回想の物語では終わらない余韻が広がります。雷のように一瞬で焼きつき、消えない記憶。そんな忘れられない存在を抱えたことがある人にこそ、そっと手に取ってほしい一冊です。

「ラクダで塩をはこぶ道 サハラ砂漠750キロの旅」作・絵: エリザベス・ズーノン

「ラクダで塩をはこぶ道 サハラ砂漠750キロの旅」作・絵: エリザベス・ズーノン
「ラクダで塩をはこぶ道 サハラ砂漠750キロの旅」作・絵:エリザベス・ズーノン/あすなろ書房

6月17日は「砂漠化や干ばつと闘う国際デー」。地球規模で進む環境問題に目を向けるこの日にこそ手に取りたいのが、サハラ砂漠を舞台にした絵本、エリザベス・ズーノンの『ラクダで塩をはこぶ道 サハラ砂漠750キロの旅』です。

 

物語はアフリカ・マリで採れる貴重な岩塩を運ぶキャラバンに初めて参加する少年マリクの旅を描きます。相棒はラクダのラクマール。灼熱の砂漠を越え、750キロ先の街を目指す過酷な道のりが語られていきます。

 

どこまでも続く砂の大地、容赦なく照りつける太陽、水や食料の限界――その一つひとつが、日常とはかけ離れた世界をリアルに感じさせます。美しい絵とともに描かれるのは、単なる冒険ではなく、人が自然とともに生きる厳しさとたくましさです。

 

普段は知ることのない砂漠の文化や暮らしを感じることができ、子どもだけでなく大人も夢中になるこの一冊。一方で、変わりゆく時代の中で伝統を守る難しさにも触れられており、「考えさせられる」と感じる人も。遠い異国の物語でありながら、今の私たちの暮らしにも静かに問いかけてくるようです。親子で読むのはもちろん、大人の心にも深く残る作品でしょう。

6月におすすめの読書法3選

6月はおうち時間が長く、普通に読書するだけでは物足りなく感じてしまうことも。そんなときは6月ならではの読書法で心をリフレッシュしてみませんか。ここでは6月におすすめの読書法を3つご紹介します。

雨上がりの散歩のあとに読書

雨上がりの快晴 水たまりに映る快晴

 

しとしと降っていた雨がやみ、空が少し明るくなりはじめる雨上がり。そんなとき、不思議と外へ出てみたくなる瞬間があります。

 

濡れたアスファルトの匂い、葉っぱに残る雨粒、水たまりに映る空。いつもの道も、雨のあとだけは少し違って見えるものです。そんな景色を眺めながらゆっくり散歩をしたあとは、その余韻のまま読書を楽しんでみませんか。

 

少し湿った空気の中を歩いたあとに部屋へ戻り、本を開く時間はどこか心が落ち着きます。外の静けさをそのまま連れて帰ってきたようで、いつもより物語にも入り込みやすくなるかもしれません。

 

雨の日が多い6月だからこそ味わえる、静かな読書時間。雨上がりのやわらかな空気とともに、一冊の本をゆっくり楽しみましょう。Related【2026年東京】あじさいの名所!おすすめスポットを見頃と共に紹介|駅近・穴場スポットも
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水無月を味わいながら読書

6月の和菓子 水無月

 

6月は旧暦名でいうと「水無月」。この名前がついた「水無月」という和菓子があるのをご存知でしょうか。白いういろうに小豆をのせた、涼やかな見た目が印象的なお菓子です。夏越の祓にあわせて食べられることでも知られ、暑さが本格化する前のこの時季にぴったりの存在です。

 

ひんやり冷やした水無月をひと口味わいながら、本を開く時間は、どこか気持ちまで落ち着いていくよう。もちっとした食感とやさしい甘さが、慌ただしい日々の中に静かな余白を作ってくれます。

 

派手なお菓子ではないけれど、だからこそ読書との相性は抜群。物語の邪魔をせず、ゆっくりページをめくる時間にそっと寄り添ってくれます。冷たいお茶と一緒に楽しめば、6月ならではの穏やかな読書時間に。

 

一年の折り返しが近づく6月。水無月を味わいながら、自分の心を整えるように読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。

「今日は長編の日」と決めてじっくり読書

雨が見える窓と本

 

雨の日が増え、おうちで過ごす時間が長くなる6月。そんなときこそ、‟一日中長編と向き合う“日を決めてじっくり読書に浸る時間を作ってみませんか。

 

読みたいと思いながら、なかなか手をつけられていなかった分厚い小説やシリーズ作品。まとまった時間が取りやすい6月は、そんな“いつか読みたい本”に向き合うのにぴったりです。

 

お気に入りの飲み物を用意して、スマートフォンは手の届かないところに置いて。ページをめくるうちに、気づけば時間を忘れて物語の世界に入り込んでいるかもしれません。外の雨音や曇り空も、不思議と読書の集中力を高めてくれます。

 

短い物語を少しずつ楽しむ読書も素敵ですが、長編ならではの没入感を味わえるのは、時間がゆるやかに流れる6月だからこそ。物語の中でたっぷり寄り道をしながら、贅沢な読書時間を過ごしましょう。Related【簡単】手作りフルーツティーレシピ集 「食べる飲み物」で香り豊かなティータイムを
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おわりに

静かな室内とカーテン 曇りの日の読書イメージ

 

雨の日が続き、気分までどんよりしてしまうような6月。できないことに目を向けると気がふさいでしまいがちですが、雨の日でもできること・読書に目を向けて気分をあげてはどうでしょうか。本の世界にゆっくり浸る時間が心を整えてくれるかもしれません。

 

外へ出かけにくい日が多い季節ですが、そのぶん自分の内側と向き合いやすい時季。本を通してさまざまな感情や景色に触れながら、ゆっくり心をほぐす時間を大切にしてくださいね。6月の読書体験が雨の日を彩る楽しい思い出となりますように。
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あまち

written by...あまち

2022年よりフリーランスとして活動中のWebライター。現在は2児の母として育児と仕事を両立に奮闘中。趣味は家族とのレジャーや、カフェで過ごすひととき。