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Jun 01, 2025

【6月におすすめの本】この季節に読みたい!雨の日もちょっと楽しみになる、おすすめ作品を紹介

アジサイと開かれた本 6月の読書イメージ

雨の音が響く梅雨の季節――室内で過ごす時間が増えるこの時期こそ、読書にぴったりのタイミングです。しとしとと降る雨音に耳を傾けながらページをめくれば、物語の世界により深く入り込めることでしょう。この記事では、6月にこそ読みたいおすすめの本7冊と、雨の日がちょっと楽しみになる読書の方法を紹介します。

6月におすすめの本

梅雨の訪れとともに、雨音が日常に溶け込む6月。せっかく家で過ごすなら、読書に没頭してみてはいかがですか。じめじめした空気も、ページをめくるたびに心が軽くなっていく。そんな6月にするためにぴったりの本をご紹介します。

変化を恐れず前に進みたい人へ「チーズはどこへ消えた?」ジョンソン・スペンサー

「チーズはどこへ消えた?」スペンサー・ジョンソン 著 門田美鈴 訳/扶桑社刊
「チーズはどこへ消えた?」スペンサー・ジョンソン 著 門田美鈴 訳/扶桑社刊

6月1日は「チーズの日」。もともとこの日は「写真の日」。撮影時の定番のかけ声「はい、チーズ!」も関係があるとして「チーズの日」が後追いで制定されました。そもそもなぜ「はい、チーズ」が定番なのか、発祥元はフランスという説がありますが、日本ではチーズメーカーのCMがきっかけで広まったようです。ということで、チーズが登場する奥深い作品がこちら。

 

物語の登場人物は、2匹のネズミと2人の小人。彼らは、迷路の中で人生の象徴である“チーズ”を探して生きています。ところが、ある日突然チーズが消えてしまって……。ネズミたちはチーズがなくなるとすぐに次のチーズを探しに行きますが、一方で小人たちは「なぜチーズがなくなったのか?」と戸惑い、なかなか動き出せません。しかし、やがて一人が新しいチーズを探しに旅立つ決心をしーー。

 

「変化にどう向き合うか」というテーマが、非常に親しみやすく描かれており、変化の時代に「自分はどう動くか?」を考えさせられる一冊です。今も世界中で読み継がれているビジネス書で、IBMやアップルなど、世界の大企業が社員教育に採用したのも納得の内容です。

 

新しい環境、仕事の変化、人間関係の揺らぎ……人生には思いがけない変化がつきものです。だからこそ、自分の「チーズ」がなくなったとき、どんな行動を取れるかが大切なのかもしれません。

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音楽と青春の熱き軌跡「レイジ」誉田哲也

「レイジ」誉田哲也
「レイジ」誉田哲也/

6月9日は「ロックの日」。そんな日にぴったりな音楽に情熱を注いだ少年たちの20年を描いたこの一冊をピックアップ。

 

中学最後の文化祭で結成されたバンドをきっかけに、ワタルと礼二(レイジ)は音楽の道を歩み始めます。要領のいいワタルと、圧倒的な才能を持つ礼二。このまま仲間と音楽を続けていく、そう思っていた矢先、礼二が突然の脱退。彼は誰にも理由を告げず、グループを去ります。夢を追い、それぞれの形で音楽に向き合う中で、苦しみや挫折を繰り返しながら大人になっていく——。

 

そんな2人の軌跡を、1980年代から2000年代半ばまでの音楽シーンとともに描き出す本作。 「風の彼方に」という架空の曲が頭に鳴り響き、読み終えたあとも彼らの青春が胸を熱くさせます。

 

思うようにいかない日々も、遠回りも、すべてが音楽の糧になる。そんなふたりの姿は、かつてバンドに夢中になった人も、聴く専門だった人も、きっと心に響くはず。ロックの日に読みたい、情熱の物語です。

歩行者天国が舞台の、きらめく人生交差点「人魚が逃げた」青山美智子

「人魚が逃げた」青山美智子著(PHP研究所)
「人魚が逃げた」青山美智子 著/PHP研究所

6月10日は「歩行者天国の日」。歩行者天国といえば土・日、祝日の午後、銀座中央通りは歩行者天国となり、まるで非日常の舞台のような雰囲気に包まれます。そんな「歩行者天国」の銀座を舞台に描かれるのが、こちらの作品。

 

物語は3月のある週末、「人魚が逃げた」という謎のワードがSNSでトレンド入りするところから始まります。銀座の街を彷徨う謎の青年“王子”を目撃した人々が、何気ない日常の中で人生の転機を迎え、思いがけず変化していく5つの短編連作。登場人物たちの小さな選択や出会いが、まるで銀座の街のようにどこか煌びやかで、少し不思議な読後感を残してくれます。

 

現実とフィクションの境目がゆらぐ中、「物語のような日常」にそっと光を当ててくれる本書。週末の銀座を訪れたくなるような一冊です。

“知ること”は幸せか「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス

「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス
「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス/早川書房

6月12日は「日記の日」。アンネ・フランクが日記を書き始めた日にちなんで制定された記念日です。日記とは自分の人生が綴られる、いわば自分だけの大切な物語ですよね。振り返って読んでみると、書いたその日の記憶が鮮明に思い出されることも。そんな体験ができるような、日記形式で綴られた一冊をご紹介。

 

知的障害をもつ主人公チャーリイ・ゴードン。ある脳手術によって天才へと変貌していく過程を“日記形式”で描いた本作品。チャーリイの知能の変化にともなって、文体や言葉遣いが徐々に変化していく日記は、彼の内面の喜びや戸惑い、そして深い孤独までもリアルに映し出します。

 

知能が上がれば幸せになれると思っていたチャーリイが、次第に現実の厳しさや人間関係の複雑さを知ることで抱える葛藤は、「本当の幸せとは何か」を私たちに問いかけてきます。また、同じ手術を受けた白ネズミ・アルジャーノンの運命がチャーリイに暗い影を落とし、やがて彼にも避けられない変化が訪れることになり――。

 

一人称の日記だからこそ伝わる、切実な感情の機微。「知ること」「感じること」の意味を静かに、それでいて深く問いかけてくる名作です。

和菓子に秘められた謎をひもとく「和菓子のアン」坂木司

「和菓子のアン」坂木司/光文社文庫
「和菓子のアン」坂木司/光文社文庫

6月16日は「和菓子の日」。かつてこの日に行われていた“嘉祥(かじょう)”という行事で、厄除けと招福を願って神前に和菓子を供えていたことが由来となっています。そんな日に読みたいのが、和菓子を通して人の心を読み解くこちらの作品。

 

主人公は、ちょっぴりぽっちゃり体型の18歳・梅本杏子(通称アンちゃん)。勉強も就職もいまいちピンとこないまま高校を卒業し、「とりあえずバイトでもしながら、自分に合うものを見つけよう」と思い立ちます。そんな彼女が偶然立ち寄ったデパ地下で出会ったのが、和菓子店「みつ屋」。
職場は一見おだやかだけれど、働く人たちはかなり個性的。上品な見た目とは裏腹に中身は“おじさん”な椿店長、元ヤンキーの過去を持つかわいい女子大生の桜井さん、外見は完璧でも心は乙女な立花さん…。そんな仲間たちに囲まれながら、アンちゃんは和菓子の奥深さにどんどん惹かれていきます。

 

誰も傷つかない、ほっこりするようなミステリーなので、「ミステリーって怖くてちょっと苦手…」という人にもおすすめ。和菓子に込められた物語や、お客さんのふとした言動に隠された“謎”を解き明かしていく展開は、知的好奇心もくすぐられます。和菓子の知識も自然と身につき、「今度、和菓子を買ってみようかな」と思わせてくれる一冊です。

異国で根を張る、心温まる食堂の物語「かもめ食堂」群ようこ

「かもめ食堂」群ようこ
「かもめ食堂」群ようこ/幻冬舎文庫

6月18日は海外移住の日。誰もが一度は海外での暮らしにあこがれたことがあるのではないでしょうか。楽しそうと思う反面、よく知らない土地での生活を不安に思う気持ちもありますよね。そんな人におすすめしたいのが、移住先でのささやかで温かい日常が綴られていて、不安も吹き飛んでしまうようなこちらの作品。

 

舞台は北欧フィンランド・ヘルシンキの街角に佇む「かもめ食堂」。日本人女性サチエがひとりで営む小さな食堂です。看板メニューは、彼女が心を込めて握る“おにぎり”。けれど、常連客は日本文化が大好きな青年・トンミだけ。そんな中、偶然の出会いから訳ありな日本人女性ミドリとマサコが現れ、店を手伝うように。そこから少しずつ、現地の人々も店に足を運ぶようになり――。

 

登場するのは、夫に出ていかれた女性や元店主だった謎の男性など、どこか孤独を抱えた人たち。彼らが「かもめ食堂」というあたたかな場所で少しずつ心を開いていく姿に、じんわり心が温まります。

 

派手な事件は起きないけれど、毎日のごはんやちょっとした会話を大切にすることで、人はやさしくなれる、そんな思いが身に染みる作品です。異国の地で、自分らしく根を張って生きるサチエの姿に、自分のペースで人生を歩んでいいんだと、そっと背中を押される一冊です。

五感で感じる雨の日の楽しさ「どしゃぶり」おーなり由子/はた こうしろう

「どしゃぶり」おーなり由子/文 はたこうしろう/絵
「どしゃぶり」おーなり由子/文 はたこうしろう/絵

梅雨や夏の雨の日にぴったりの一冊。おーなり由子さんの文章とはたこうしろうさんの絵で描かれる絵本「どしゃぶり」は、五感を刺激する雨の世界を、子どもたちの目線でみずみずしく描いています。

 

暑い夏の日、真っ黒な雲が近づいてきたと思ったら、「ぽつっ、ぽつっ」と雨が降り始め、やがて「ずだだだだ」「ぼぼぼぼぼ」と、まるで太鼓のような音を響かせるどしゃぶりに。主人公の男の子はその雨の中を裸足で駆け回り、全身で雨を受け止めながら遊びます。

 

「雨って、こんなに楽しいものだったっけ?」ページをめくるたび、そんな気持ちが湧き上がります。本書では、「ザーザー」だけにとどまらず、雨が作り出すさまざまな音や表情が、豊かな擬音語と大胆な構図で表現されています。「雨ってどんな音?」と、親子で語り合いたくなる一冊です。

 

読んだ後には、雨のにおい、水しぶき、肌に触れる感覚までが鮮明に蘇り、「雨の日でも外に出てみようかな」と思えるかもしれません。子どもの感性を育てるだけでなく、大人の心も洗ってくれる、まさに“雨が待ち遠しくなる絵本”です。

6月におすすめの読書法

6月は雨で外出する機会も少なく、なんだか退屈…。そう感じたらぜひ、6月ならではの読書法で本を楽しむのはいかがでしょうか。ここでは6月におすすめの読書法を3つご紹介します。いつもと視点を変えてみることで、新しい発見につながるかもしれませんよ。

雨音を聞きながら読書

雨の日の室内 マグカップと本とブランケット

 

雨の日は外出を控えて、ゆっくり本を読むチャンス。しとしとと降る雨の音はまさに読書にうってつけのベストBGMではないでしょうか。外の世界が静まり返り、雨音だけが響く中で本を開けば、物語にどっぷりと浸ることができます。窓辺に座って、温かい飲み物を片手に、雨の音を背景にした読書タイムは、心が落ち着くひととき。まるで本の中にいるような感覚に包まれ、読書がはかどること間違いないでしょう。

あじさいを眺めながら読書

アジサイに囲まれたベンチ 雨上がり

 

色とりどりのあじさいが満開を迎えるこの時期、自然の美しさを感じながら読書するのもおすすめ。雨に濡れたあじさいが一層鮮やかに映え、心が癒されます。お気に入りのベンチやカフェの窓際で、あじさいを眺めつつ本を開けば、日常の忙しさを忘れて、穏やかな時間が流れます。風に揺れる花々を見つめながら、ページをめくってみては?

パフェを食べながら読書

喫茶店のパフェ

 

梅雨のジメジメした空気を吹き飛ばすには、ひんやりとしたスイーツがぴったり。さらに6月28日は「パフェの日」。落ち着く喫茶店で、お気に入りのパフェを頬張りながら、静かな読書タイムを過ごしてみては?甘いものと本の世界に浸ることで、心も体もリフレッシュでき、梅雨のどんよりした気分も晴れやかに。 心地よい甘さを楽しみながら本と向き合う贅沢なひとときは、梅雨ならではの特別な楽しみ方です。おいしいパフェと共に、ゆったりとした時間を満喫しましょう。

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6月の読書を楽しもう

雨の日 窓際で読書

 

6月は、季節の変わり目で少し気分が沈みがちな時期かもしれません。そんなときこそ、本の世界に浸って心を整えるのはいかがでしょうか?ご紹介した本の中から、あなたにぴったりの一冊が見つかりますように。

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