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Feb 01, 2026

【2月におすすめの本】寒い季節にそっと寄り添う一冊を|この時期ならではの読書法も紹介

1年の中でも特に空気が澄み、冷たい風が頬をかすめる2月。外の寒さに肩をすくめつつも、あたたかい飲み物を片手にゆっくり本を開けば、いつも以上に言葉が心にしみ込みやすくなるかもしれません。

今回は、冬の終わりに小さな彩りを添えてくれる6冊を紹介します。寒さに負けず、読書で心を温めましょう。

【1月におすすめの本】新しい年の一歩を後押しする作品|この時期ならではの読書法も紹介

2月におすすめの本

「凍りついた香り」小川 洋子

「凍りついた香り」小川 洋子
「凍りついた香り」小川 洋子 著/幻冬舎文庫

2月1日は「ニオイの日」。語呂合わせの“ニ(2)オ(0)イ(1)”から生まれた記念日です。ニオイの日にぴったりなのが、小川洋子『凍りついた香り』。恋人の死と香水を巡る謎が静かに交錯するサスペンスです。

 

物語は主人公・涼子の恋人が突然命を絶ったところから始まります。調香師だった彼は亡くなる前日、涼子のためにひとつの香水を贈りました。しかし、その翌日に訪れた死はあまりにも唐突で、涼子は彼の本当の姿を何ひとつ知らなかったことに気づきます。

 

香水の名は“記憶の泉”。香りに導かれるように、涼子は彼の足跡を求めてプラハへ──。香水の香りがふと記憶をよみがえらせるように、過去の景色が静かに層をなしていく展開は、小川洋子作品ならではの透明感が漂います。

 

まるで静かで残酷で美しい世界観が読み手を深い余韻へと誘い、ページをめくるたび、遠い記憶がそっと香り立つような、不思議な読書体験をくれる1冊です。

「不思議の国のアリス」著:ルイス・キャロル 訳:矢川澄子 絵:金子國義

「不思議の国のアリス」著:ルイス・キャロル 訳:矢川澄子 絵:金子國義
「不思議の国のアリス」ルイス・キャロル 著・矢川澄子 訳・金子國義 絵/新潮文庫

2月2日は「頭痛の日」です。“ず(2)つう(2)”という語呂合わせが由来ですが、この日にちなんだ話題として“不思議の国のアリス症候群(AIWS)”をご存じでしょうか。物の大きさや距離感がゆがんで見える症状で、片頭痛が大きく関係しているといわれています。アリスが体験したような感覚に似ていることから、この名前がついたそうです。そこで今回は、語り継がれる名作『不思議の国のアリス』を紹介します。

 

ある日、アリスは白ウサギを追いかけて穴に落ちてしまいます。そこは常識が通じない不思議の国。体が大きくなったり小さくなったり、奇妙な論理を語る住人たちと出会ったり、アリスは次々と不可思議な出来事に巻き込まれていきます──。

 

『不思議の国のアリス』は1865年の刊行以来、世界中で愛されてきました。挿絵版を読むと、キャラクターたちの個性がさらに際立ち、まるで夢の中に迷い込んだような感覚に。豪快なのに、読み終えるとなぜかしっくりまとまる不思議な作品です。

 

混乱とユーモアが入り交じるこの物語は、読み返すたびに新しい発見があるかもしれません。ストーリーを知っている人も、もう一度気分転換に読んでみてはいかがでしょうか。

「風を彩る怪物」逸木裕

「風を彩る怪物」逸木裕
「風を彩る怪物」逸木裕 著/祥伝社

2月10日は「フルートの日」。語呂合わせの“フ(2)ルート(10)”にちなみ、フルートの魅力を広め、音楽を始めるきっかけづくりを目的として制定されました。音の美しさや楽器づくりの奥深さに触れたいこの日にこそ読みたいのが、逸木裕『風を彩る怪物』。フルートとパイプオルガン、2つの楽器が織りなす音が、登場人物たちの人生を動かしていく青春音楽小説です。

 

物語の主人公は、音大受験に失敗し自信を失った名波陽菜。気持ちを立て直すため、姉の住む自然豊かな奥瀬見で過ごすことになります。

 

ある日、フルートの練習中に陽菜はオルガン製作者の芦原幹と、その娘で同い年の朋子に出会います。ふとしたきっかけから、朋子が取り組むパイプオルガン製作を手伝うことになり、陽菜はこれまで知らなかった楽器づくりの世界に魅せられていきます。しかし、陽菜がフルートへの迷いや焦りを抱えたまま製作に関わる姿に、朋子は苛立ちを募らせ──。音楽に真剣に向き合ってきた2人をフィーチャーした青春音楽小説です。

 

『風を彩る怪物』ではパイプオルガンの歴史や構造、響きの仕組みなど、専門的な情報も出てくるこの作品。音楽好きをうならせるだけの満足感がありつつも、音楽を知らない人でも置いてけぼりにならず、心地よく読了することができます。

 

フルートの日にこの物語を読むと、音楽に向き合う若者たちのひたむきさや、音の世界の奥深さに改めて心が震えるはず。自分の進むべき道を探している人にもそっと寄り添ってくれる1冊です。

「チョコレート・アンダーグラウンド」シアラー・アレックス

「チョコレート・アンダーグラウンド」シアラー・アレックス
「チョコレート・アンダーグラウンド」シアラー・アレックス 著/求龍堂

2月といえばチョコレート。バレンタインの甘い雰囲気が街に広がるこの季節にぴったりな物語が、シアラー・アレックスの『チョコレート・アンダーグラウンド』です。チョコレートが禁止された世界で少年たちが立ち上がる、ユーモアとスリルに満ちた物語。チョコレートを巡る冒険なのに、読み終えるころには“自由とは何か”もそっと考えさせてくれる1冊です。

 

『チョコレート・アンダーグラウンド』の舞台はイギリス。選挙で勝利した「健全健康党」は、突如としてチョコレート禁止法を発令します。国中から甘いものが消え、街には探知車が巡回し、わずかな砂糖や蜂蜜まで取り締まりの対象に。子どもたちは「再教育」と称してチョコレートを忘れさせられ、もはや世界は甘さの欠片もない管理社会へと変貌していきます。

 

そんな状況に立ち向かったのが主人公のハントリーと親友スマッジャー。大人しく従うだけではいられないと決意した2人は、秘密の地下室でチョコレートを密造し、仲間と力を合わせて“地下チョコバー”を立ち上げます。小さな反抗はやがて大きなうねりとなり、少年たちは危険を承知で政府の圧政に挑みます──。

 

子どもの勇気、大人の理不尽、そして何かを守りたい気持ち。物語が進むほど、チョコレート以上に大切なものが見えてくる構成が巧みです。バレンタインにこの本を手にすると、チョコレートの甘さが少し特別に感じられるはず。もし好きなものが突然奪われたら…そんな問いを軽やかに投げかける、素敵な冒険物語です。
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「猫のお告げは樹の下で」青山 美智子

「猫のお告げは樹の下で」青山 美智子
「猫のお告げは樹の下で」青山 美智子 著/宝島社

2月22日は「猫の日」。 “にゃん(2)にゃん(2)にゃん(2)”の語呂合わせから生まれ、猫と一緒に暮らせる幸せを分かち合う日とされています。そんな猫の日にぜひ読みたい連作短編集が、青山美智子『猫のお告げは樹の下で』

 

7つの物語の中心となるのは、お尻に星形マークがついた不思議な猫・ミクジ。ふと立ち寄った神社でミクジに出会った人々は、ミクジが落とした葉っぱのお告げによって、自分の悩みや迷いと向き合うことになります。

 

失恋した美容師は忘れたい過去に縛られていることに気づき、中学生の娘と距離ができてしまった父親は言葉以前に大切な姿勢を思い出します。なりたいものが分からない大学生や、夢を諦めるべきか揺れる主婦など、登場人物たちは自分では気づけなかった心の引っかかりをミクジのお告げによってそっと照らされていきます──。

 

劇的な奇跡が起こるわけではありません。けれど、日常に転がる小さな言葉、ふと見えた風景、誰かの優しさ…それらがほんの少し角度を変えるだけで、世界はこんなにも違って見える。そんなメッセージが、7つの物語すべてに静かに息づいています。

 

読み進めるほど、肩に入っていた力がふっと抜けていくような心地よさを味わえるはずです。猫の日に『猫のお告げは樹の下で』を読めば、ミクジがどこかであなたの背中を軽く押してくれているような、やさしい気持ちになれるでしょう。

「らいおんくんのビスケット」著:はせがわ さとみ 絵:ア・メリカ

「らいおんくんのビスケット」著:はせがわ さとみ 絵:ア・メリカ
「らいおんくんのビスケット」作:はせがわ さとみ 絵:ア・メリカ/Gakken

2月28日は「ビスケットの日」です。1855年の2月28日に日本でビスケットが作られていたことが分かる最古の記録が残っていることに由来します。ビスケットの日におすすめしたいのが、たべっ子どうぶつが絵本として登場した『らいおんくんのビスケット』です。おなじみの親しみあるキャラクターと、お菓子作りのワクワクがぎゅっとつまった1冊で、読み終えると自然とビスケットを手に取りたくなります。

 

物語の舞台はお菓子が大好きなたべっ子どうぶつたちの街。もうすぐ「おかしフェスティバル」が始まるとあって、街中がそわそわしています。らいおんくんは世界にひとつだけのお菓子を作りたいと意気込み、みんなを誘ってお菓子作りをスタート。しかしみんなの作りたいものはバラバラです。果たして、らいおんくんの夢見る世界にひとつのお菓子は無事完成できるのでしょうか──?

 

ページをめくるたび、たべっ子どうぶつのかわいらしい表情や、楽しげなお菓子作りの様子があふれ、子どもはもちろん、大人も思わず笑顔になるはずです。子どもと一緒に「どんなお菓子を作りたい?」と話し合うきっかけにもなり、おやつ時間もいっそう楽しくなりますね。親子で楽しめる、かわいさと優しさがいっぱいの絵本です。
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2月におすすめの読書法3選

日数が短いうえにイベントごとが多い2月は、あっという間に過ぎ去ってしまいがち。そんな時でも隙間時間に本を読んで、心にゆとりを持ちたいものです。ここでは2月におすすめの読書法を3つご紹介します。

アロマを焚きながらまったり読書

アロマキャンドル ラベンダーのドライフラワー

 

まだまだ寒さが続き、おうち時間の増える2月は、お部屋に心地よい香りを取り入れてみてはいかがでしょうか。お気に入りのアロマを焚きながら本を開けば、やわらいだ部屋の空気とあいまって、自然と気持ちもほぐれていきます。

 

ラベンダーやオレンジ、ウッド系など、その日の気分で香りを選ぶのも楽しみのひとつ。香りに包まれながら読む本は、いつもと違う新鮮な感覚で楽しめるはず。考えごとが多くなりがちな季節だからこそ、香りがそっと頭を休ませてくれるでしょう。

アロマキャンドルやディフューザーをひとつ用意するだけで、読書の時間がぐっと贅沢に。寒い日の夜、香りと物語に身を委ねるひとときは、とっておきのご褒美時間になりそうです。おすすめアロマキャンドル紹介!香りのインテリアでお部屋に癒しを

あたたかいお茶をいれながら読書

抹茶ラテ 抹茶のホットドリンクイメージ

 

2月6日は「抹茶の日」。茶道の道具のひとつ“風炉(ふろ)”の語呂合わせから制定されました。そんな「抹茶の日」にちなんで、お茶を片手に読書を楽しむのもいいですよね。

 

お湯を沸かし、湯気が立ちのぼるのを眺めながら、ゆっくりとお茶をいれる。そのひと手間だけで、気持ちが自然と落ち着いていきます。湯のみを片手に本を開くと、ページをめくる速度も少しゆっくりに。言葉一つひとつを味わうように読む時間が生まれます。

 

抹茶はもちろん、ほうじ茶や緑茶、抹茶のラテでも大丈夫。あたたかい飲み物と一緒に過ごす読書時間は、冷えた体と心をほぐしてくれるでしょう。慌ただしい毎日の合間に、お茶と本でほっと一息つく――あたたかさがいっそう恋しくなる季節ならではの読書を楽しんでみてください。おしるこの簡単アレンジ!ちょい足しするだけ&お手軽リメイク方法を紹介

ビスケットが焼き上がるのを待ちながら読書

四角形のビスケット 手作りイメージ

 

2月28日の「ビスケットの日」にちなんで、ビスケットを手作りしてみませんか。ビスケットが焼き上がるまでの待ち時間は、読書にぴったりのひとときです。オーブンから漂ってくる甘く香ばしい香りが五感を刺激し、物語に彩りを添えてくれます。

 

長編に没頭するというよりは、短編集やエッセイをゆったり読むのがおすすめ。焼き色を気にしながら読むくらいの気軽さが、ちょうどよいでしょう。焼き上がり後は、温かいお茶を片手にビスケットを味わいながら読書を続けるのもまた魅力的。甘い香りと物語に包まれながら本を楽しみましょう。

おわりに

落ち着いた冬の朝の読書タイムイメージ 本とホットドリンク

 

冬の終わりを目前に、寒さがいっそう厳しくなる2月。香りや音、甘いお菓子や静かな時間など、周りへほんの少し意識を向けるだけで、読書のひとときはぐっと豊かになります。今回紹介した本や読書法が、「今日はどれにしようかな」と本を手に取るきっかけになれば嬉しいです。

 

忙しい毎日でも、数ページ読むだけで気持ちが切り替わる瞬間はきっとあります。あたたかい飲み物を用意して、好きな場所で、好きなペースで。2月の読書時間が、あなたの日常にやさしい余白を運んでくれますように。

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あまち

written by...あまち

2022年よりフリーランスとして活動中のWebライター。現在は2児の母として育児と仕事を両立に奮闘中。趣味は家族とのレジャーや、カフェで過ごすひととき。