Sep 30, 2025
【管理栄養士監修】カフェイン断ちの効果・メリット・デメリットを解説!続けるコツもご紹介

毎朝のコーヒーが欠かせない、午後の疲れにエナジードリンクが手放せない。そんな人も多いことでしょう。しかし、カフェインに頼りすぎると睡眠の質が下がったり、イライラしやすくなったりすることも。最近注目されている「カフェイン断ち」は、こうした問題を解決する方法として話題になっています。
この記事では、株式会社WELL BE INDUSTRYの管理栄養士、久住瑠実子さん監修のもと、カフェイン断ちの効果やメリット、デメリット、そして無理なく続けるコツまで詳しく解説します。
MOKUJI
カフェイン断ちとは?どれくらいの期間で効果を実感できる?
「カフェイン断ち」とは、コーヒーや紅茶、エナジードリンクなど、カフェインを含む飲み物や食品を意識して控えること。完全にカフェインをゼロにする方法もあれば、日常的な摂取量を大きく減らす方法もあります。カフェイン断ちの効果を感じるまでの期間には個人差がありますが、睡眠の質に関しては早ければ12時間ほどで変化を感じる人もいます。
カフェイン断ちで得られる5つのメリット
カフェイン断ちの効果として、主に以下の5つが挙げられます。
・睡眠の質が改善する
・イライラや不安感が軽減する
・集中力や生産性が向上する
・消化器症状が改善する
・頭痛や倦怠感が改善する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
睡眠の質が改善する
カフェインには覚醒作用があり、その効果は摂取後5〜8時間ほど続くと言われています。さらに、体内からカフェインが抜けきるまでには数日かかることも。16時以降のコーヒーやお茶が、実は夜の眠りに影響していることも少なくありません。
カフェイン断ちをすると、寝つきがよくなったり、深い睡眠がとれるようになったりといった変化が期待できます。朝の目覚めがスッキリして、日中の眠気が減ると感じるようになるでしょう。ナイトルーティンで理想の眠りを手に入れよう!心と体を整える夜習慣アイデア集
イライラや不安感の軽減
カフェインの摂りすぎは、交感神経を刺激し、心拍数や血圧の上昇、自律神経の乱れを招く原因になります。この影響で、ちょっとしたことでイライラしたり、漠然とした不安を感じやすくなったりする場合も。カフェイン断ちを続けることで、自律神経が徐々に整い、気持ちの安定を感じやすくなります。落ち着いた気分で過ごせる時間が増えるのは、カフェイン断ちの効果のひとつです。
消化器症状の改善
カフェインには胃酸の分泌を促す働きがあり、空腹時の摂取は胃が荒れてしまうことがあります。また、利尿作用によって体内の水分バランスが乱れやすくなる点も見過ごせません。カフェインを控えることで、胃のむかつきや下痢などの消化器系の不調が改善されるだけでなく、体内の水分バランスが整いやすくなり、むくみの改善につながることも期待できます。
頭痛や倦怠感の軽減
カフェインを断ち始めたばかりの時期には、頭痛やだるさといった「離脱症状」が現れることがあります。これは体が変化に慣れようとしているサインでもあるため、一時的なもの。継続することで、慢性的な頭痛や倦怠感が少しずつやわらいでいくことが期待されます。カフェイン断ちの効果は、短期的な不調の先にある“長期的な快調”にあるとも言えるでしょう。
カフェイン断ちによるデメリットはある?
カフェイン断ちの効果が注目される一方で、はじめのうちは一部のデメリットを感じる場合も。あらかじめ把握しておくことで、よりスムーズに取り組めます。カフェインの摂取をやめる前に、しっかりチェックしておきましょう。
頭痛・倦怠感など離脱症状がある
カフェイン断ちを始めると、数日から1週間ほどのあいだに、頭痛や倦怠感、集中力の低下、気分の落ち込みなど、いわゆる「離脱症状」を感じることがあります。これは、これまでカフェインに慣れていた体が、少しずつリセットされていく過程で起こる自然な反応。症状の強さや続く期間は、これまでの摂取量や体質によって個人差があります。
一時的に作業効率が落ちる場合も
離脱症状の影響で、いつもより集中しづらくなったり、頭がぼんやりしたりすることがあります。特に日頃からカフェインを多くとっていた場合は、その変化を大きく感じやすいかもしれません。ただし、こうした変化は一時的なもの。体がカフェインなしの状態に慣れてくると、徐々に頭がクリアになり、集中力も戻ってきます。大切な仕事や試験が控えていないタイミングを選んで始めると、ストレスを感じにくくなりますよ。
無理なく続けるためのカフェイン断ちのコツ
カフェイン断ちの効果をしっかり実感するためには、焦らず、コツコツと続けていくことが大切です。ここでは、無理なく継続するための工夫をご紹介します。
まずは今の摂取量を把握することから
カフェイン断ちを始める第一歩は、「今どれくらいカフェインをとっているか」を知ること。コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクの他、意外なものとしてはコーラやチョコレートなどもチェック対象です。朝のコーヒー、午後のお茶、夜のチョコレートまで、実は多くの場面でカフェインを摂取しているかもしれません。まずは1日を通して、カフェインを含む飲み物や食べ物をメモしてみましょう。
急にやめない!少しずつ減らすのが続けるコツ
カフェインをいきなりゼロにしてしまうと、離脱症状が強く出てしまい、かえって挫折の原因に。体への負担を減らすためにも、少しずつ減らしていく方法がおすすめです。
例えば…
・1日3杯飲んでいたコーヒーを、1週間ごとに1杯ずつ減らしていく
・毎日飲んでいたものを「平日だけ」にするなど、頻度を見直す
・カフェイン含有量の少ない飲み物に切り替える
こうした段階的な変化を1〜2週間単位で行い、体の反応を見ながら無理のないペースで進めることが重要です。
特にコーヒーは、習慣で朝に飲む人も多いことでしょう。コーヒーに含まれるカフェインは、アドレナリンの分泌を促します。アドレナリンは「ファイト・オア・フライト反応」と呼ばれる自己防衛本能を引き起こし、心拍数や血糖値を上昇させる働きがあります。これによって本来は休まなければいけないのに、無理に体を動かしてかえって疲労を強めてしまう要因に。
どうしても飲みたい場合には、朝10時以降を目安に、体がしっかり目覚めたタイミングでコーヒーブレイクを取り入れるようにしましょう。【管理栄養士監修】からだにいいお茶の種類8つ!おすすめの飲み方と注意点を解説
代わりに楽しめる飲み物を見つけよう
「飲む習慣」をまるごとやめるのは大変なもの。そんなときは、コーヒーの代わりになるお気に入りの飲み物を見つけておくと安心です。
<おすすめの飲み物>
●ハーブティー:カモミール、ペパーミント、ルイボスティーなど
●デカフェコーヒー:コーヒーの味を楽しみつつ、カフェイン量をカット
●白湯やレモン水:体を温め、デトックス効果も期待できる
●ココア:少量のカフェインは含むが、リラックス効果がある
「これなら続けられそう」と思える一杯が見つかれば、カフェインへの依存から自然に離れられます。また、ココアは少量のカフェインを含むため、1日1〜2杯までを目安にしましょう。

離脱症状がつらいときの対処法
カフェイン断ちを始めるうえで気になるのが「離脱症状」です。長く付き合ってきたカフェインをやめることで、体や心にどんな変化が起こるのか。そして、それにどう対処すればいいのか。事前に知っておきたいポイントを解説します。
離脱症状とは
離脱症状とは、カフェインの摂取を急にやめたり減らしたりしたときにあらわれる身体的・精神的な不調のことです。これは薬物依存と同様のメカニズムによって生じる自然な反応で、カフェインに慣れた脳が変化に適応しようとする過程で起こります。症状の出方には個人差がありますが、多くの場合は数日〜数週間で改善されていきます。
どんな人が離脱症状を経験しやすい?
離脱症状の強さには個人差があり、以下のような人ほど症状が強く出やすい傾向があります。
・長期間(数ヶ月〜数年)にわたりカフェインを摂っていた
・1日の摂取量が多い人(目安:300mg以上)
・毎日決まった時間にカフェインをとる習慣がある
・急にカフェインを完全にやめた
体質的な要因もあり、カフェインの代謝が遅い人ほど離脱症状が長引く場合があります。
どんな人がなりやすい?体質との関係
離脱症状の現れやすさには、摂取習慣に加えて個人の体質が大きく関わっています。カフェインを分解する速度や、体内での反応の仕方は人それぞれ異なるため、同じ量を摂取していても影響の現れ方はさまざまです。普段からカフェインに敏感な方は、減らしたときにも反応しやすくなる傾向があります。
よくある症状と、つらい時のケア方法
カフェインの摂取量を減らす、あるいは完全に断つとき、どんな症状が出る可能性があるのか。その対処法とあわせてご紹介します。
<主なカフェイン離脱症状の種類> |
カフェインの摂取を控えた際に起こりうる症状には、以下のようなものがあります。ただし、これらの症状は個人差が大きく、必ずしもすべての方に現れるわけではありません。
また、管理栄養士の久住さんによると、寝起きからコーヒーを飲むまでの時間が短ければ短いほど離脱症状が出やすい傾向があるのだそう。カフェイン断ちをする際は、特に気をつけて少しずつ進めてみましょう。
●頭痛
両側にズキズキとした痛みが出ることも。風邪やインフルエンザの時のようなだるさをともなう場合もあります。
●倦怠感・疲労感
「体が重い」「やる気が起きない」といった状態になる
●眠気・集中力の低下
日中に強い眠気を感じるなど、集中力や注意力が低下
●消化器系の不調
吐き気、胃のむかつき、腹痛、便秘、下痢など
●気分の変化
不安感、イライラ、落ち着きのなさ、気分の落ち込みなど
●その他の症状
肩こり、筋肉痛、めまい、立ちくらみ、手の震え、動悸など
<カフェイン離脱症状への対処法> |
カフェイン断ちによって離脱症状が現れた場合、無理せずやさしく体をケアすることが大切です。
●水分補給を心がける
ハーブティーや麦茶、白湯などカフェインを含まない水分をこまめに補給しましょう
●十分な休息と睡眠
できるだけ体を休め、睡眠時間を十分に確保すること。軽い昼寝も◎
●軽めの運動でリフレッシュ
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動による血行促進や気分転換に
●頭痛への対処
カフェインを含まない市販の鎮痛剤を使うことも検討を
●段階的なカフェイン減量も有効
急激にカフェインを断つのではなく、数日から数週間かけて徐々に摂取量を減らす
症状が非常に強い場合、2週間以上続く場合、または他の気になる症状が現れた場合は、自己判断せずに医療機関に相談することをおすすめします。スパイス白湯に注目!どんな効果があるの?作り方やおすすめの組み合わせを紹介
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まとめ|カフェイン断ちで心地よい毎日をめざして
カフェイン断ちの効果には、睡眠の質の改善やストレス軽減など、日々の生活を快適に整える魅力があります。一方で離脱症状が出る可能性もありますが、それは体が変化に順応していくための自然な過程です。まずは今の摂取量を見直し、自分のペースで段階的に進めていくことが、継続のカギです。お気に入りのノンカフェインドリンクを見つけて取り入れたり、つらいときの対処法を知ったりすることで、無理なく取り組めるはず。カフェインに頼らない自分へと、やさしく一歩踏み出してみませんか?
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久住 瑠実子
病院管理栄養士/うるおい漢方講師/未病栄養コンサルタント(分子栄養学)/Jr.母子栄養スペシャリスト
管理栄養士歴14年、大阪市在住。2013年に結婚、現在3姉妹を育てながら病院フルタイム勤務と個人事業を両立。「美味しく食べて美しく」をモットーに「日本の医療費1億円削減を担う人の一人になる」ことをビジョンに掲げる。3ヶ月で “自分の体の音を聴き、自分の心と対話できる女性” を育て、家族に食の処方箋を出せる母をサポートすべく「うるおい漢方コンシェルジュ養成講座」を開講している。

ななこ
「伝わる」「感じる」文章をお届けするフリーランスライター。美容や健康に気を使いたいお年頃。美味しいものとNetflixが大好きなインドア派ママです。