Aug 01, 2025
【8月におすすめの本】夏のひとときを豊かに。暑いこの時期に読みたい作品と楽しみ方を紹介

暑さのピークを迎える8月。そんな季節こそ、自分のペースでゆったりと読書を楽しんでみませんか?季節にちなんだ本を手に取れば、ふとした一文から夏の空気を感じられることも。
この記事では、8月に読みたいおすすめの本と、暑い日でも快適に読書を楽しむためのアイデアを紹介します。気になる本があれば、ぜひ夏の読書リストに加えてみてくださいね。
MOKUJI
8月におすすめの本
8月といえば、いよいよ夏本番。クーラーの効いた涼しい部屋にこもりがちになる時期だからこそ、読書に没頭して物語の世界に入り込むおうち時間を過ごしてはいかがでしょうか。ここでは、8月におすすめの本を6冊ご紹介。夏の思い出に負けないくらい心に残る、そんな一冊を見つけてみてくださいね。
「丘の上の洋食屋オリオン」沖田円

8月8日は「洋食の日」。洋食の代表的な料理のひとつ・ハヤシライスの「ハ(8)ヤ(8)」にちなんで制定されました。この日に、おすすめしたいのがこちらの作品です。
丘の上に建つ「洋食屋オリオン」は、シェフ・くるみが初代オーナーである祖母・あずきの味を受け継ぎ、訪れる人に温かく幸せな時間を届けてくれる洋食店。常連客たちは、特別な日もそうでない日も、このお店の味が恋しくて足を運びます。
物語は、両親を亡くした少女と叔父の思いをつなぐ「世界で一番のトマトソースオムライス」や、キャバクラ嬢がありのままの自分に戻るために選ぶ「カリカリパンチェッタのカルボナーラ」、高校時代に友と夢を語りながら味わった「煮込みハンバーグ」など、それぞれの人生のほろ苦さや喜び・温もりが詰まったストーリーが連なります。
登場人物たちの日常だけでなく、過去や未来を行き来しながら展開する連作短編集。いつもの常連客たちが洋食屋オリオンの味に癒されて満たされていく姿を通し、美味しくて心温まる物語に想いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
「しゃべれどもしゃべれども」佐藤多佳子

8月8日は「笑いの日」。笑い声「ハ(8)ッハ(8)」と読む語呂合わせから「笑いの日を作る会」が制定された記念日です。そこで、日本の笑い文化の一つ「落語」をテーマにした小説をピックアップ。
ベストセラー作家・佐藤多佳子による本作の主人公は、三度のメシより落語が大好きな若手噺家の今昔亭三つ葉。まだまだ修行中とはいえ喋りのプロである彼が、吃音に悩む従弟や話し方教室で出会った無口な人、生意気な小学生、そして元プロ野球選手という、自己表現が苦手な4人に落語を教え、それぞれが抱える課題に向き合うきっかけを作っていく物語です。
落語を通して自身の課題に向き合うことの大切さ、そして人と人の温かい縁のつながりが描かれる、笑って泣いて心にやさしく響く一冊。落語にあまり詳しくない人でも読みやすく、落語ファンならより一層楽しめる内容です。なお、同名タイトルの映画が2007年に公開されており、そちらとあわせて楽しむのもおすすめです。
「たこ焼きの岸本」蓮見恭子

8月8日は、タコの足の本数・8本にちなんだ「タコの日」。タコの名産地・広島県三原市の観光協会が制定した記念日です。そんな“タコの日”に読みたいのが「たこ焼き」にまつわる物語。大阪の下町を舞台に、人情味あふれる温かな一冊をご紹介します。
物語の主人公は、大阪・住吉大社のほど近くで、亡き夫から引き継いだたこ焼き屋を、一人で切り盛りする岸本十喜子。ある日「たこやき研究会」と称して訪ねてきた女の子達との出会いから、物語が動き始めます。十喜子は、長年行方知れずの息子の身を案じながらも、個性豊かな商店街の仲間たちとともに、身の回りで起こる小さな事件と向き合っていきます。
熱々で美味しいたこ焼きが人々の心を優しくほぐしていく、そんなどこか懐かしく温かい下町人情ストーリー。続編シリーズも刊行されているので、ぜひそちらも手に取ってみてくださいね。
「DIVE!!」森絵都

8月14日は「水泳の日」。1953年に制定された「国民皆泳の日」をもとに、公益財団法人・日本水泳連盟が制定しました。一口で水泳と言っても、競泳の他、水球やアーティスティックスイミングなど様々な種目があります。今回はその一つである「飛込」をテーマとした作品をご紹介。
「DIVE!!」に描かれる「高飛び込み」は、高さ10メートルの飛び込み台から、およそ時速60kmでダイビングプールに飛び込む競技のこと。空中でわずか1.4秒間に繰り広げられる演技の正確さと美しさを競い合う、一瞬で魅せる極めて繊細なスポーツです。
物語は、断崖絶壁から白波を散らす海に飛び込む少年の姿から始まります。赤字経営に苦しむクラブが掲げた存続の条件は「オリンピック出場」。主人公たちは、恋や遊びといった普通の青春をすべて捨て、その目標に全力で挑んでいきます。仲間たちとともに成長していく姿が胸を打つ、熱くまっすぐな青春スポ根小説です。
続編の下巻も刊行されており、2017年にはTVアニメ化もされています。物語の世界をより深く楽しみたい人は、ぜひ続編やアニメ版にも触れてみてください。 【専門家監修】水中ウォーキングは消費カロリーが高い?効果や正しいやり方を初心者向けに紹介!
「夏子の冒険」三島由紀夫

8月30日は「冒険家の日」。始まりは1965年、同志社大学の遠征隊がアマゾン川源流から世界で初めてボート下りに成功。1970年には登山家冒険家・植村直己が北米最高峰マッキンリーに単独登頂し、世界初の大陸最高峰制覇を達成しました。さらに1989年には海洋冒険家・堀江謙一が世界最小の外洋ヨットで太平洋単独横断に成功。これらの偉業が偶然にもすべて同じ8月30日に成し遂げられたことから、この日が「冒険家の日」として制定されました。そんな日にぴったりの小説がこちら。
世界的に著名な日本人作家・三島由紀夫氏の7作目の長編小説「夏子の冒険」。裕福な家庭に育ち、自由奔放でわがままなお嬢様・夏子が、突然「あたくし修道院へ入る」と言い出したと
ころから物語は始まります。函館の修道院に向かう途中、かつて恋人を食い殺した熊の仇討ちのため北海道に渡っていた毅と出会い、夏子は恋心を抱きます。そして二人はともに熊退治の旅に出る、冒険ロマンスコメディです。
やりたい放題の夏子の冒険に振り回されるような感覚で読み進められる一冊。最後の数ページでこれまでの面白さが一転し、衝撃的な展開で裏切られた気持ちになるのが最大の見どころです。また、本作は著者・村上春樹の「羊をめぐる冒険」の元ネタではないかという説もあり、村上直樹ファンにもぜひ手に取っていただきたい作品です。
「知って楽しい花火のえほん」冴木一馬

8月といえば夏、そして夏の風物詩といえば花火。夜空に咲いては一瞬で消える、その儚い美しさに心を奪われる人も多いのではないでしょうか。そんな花火の魅力をもっと深く知りたい人におすすめの作品がこちら。
この本の作者は、日本の花火写真家・研究家でもある冴木一馬氏。氏ならではの視点で、花火の作り方をはじめ、打ち上げまでの準備や流れ、多彩な花火の種類、スターマインや玩具花火、世界や江戸時代の花火、伝統的な花火、さらには日本各地の名物花火までを、豊富なジャンルの写真とイラストを交えてわかりやすく丁寧に解説しています。さらに、花火の歴史や豆知識も満載で、読めば知的好奇心をくすぐられる一冊です。
花火の不思議と奥深さが詰まった楽しい写真絵本なので、子どもはもちろん、大人でも夢中になれる内容。花火について詳しく知ったうえで花火大会を楽しめば、何カ月もかけて作られた花火玉が夜空に咲いた瞬間の美しさや、すぐに消えてゆく儚さを、より深く心に刻むことができるのではないでしょうか。 【関東近郊】夏のイルミネーションを見に行こう!おすすめスポットや楽しむためのコツも紹介
8月におすすめの読書法3選
厳しい暑さの続く8月は、涼みながら読書したいもの。涼しいおうちで読書もいいですが、夏の思い出にいつもとは違った場所で読んでみませんか?外の暑さに気後れしちゃうという人でもおでかけしたくなるような、おすすめの読書方法をご紹介します。
川辺でキャンプを楽しみながら読書
川辺でキャンプをしながらの読書は、せせらぎや風の音に包まれて、心地よく本の世界に浸れる贅沢な時間です。水の冷気や風で都市部よりも涼しく感じることができ、日陰にタープを張ればより快適な読書空間がつくれます。自然の中という特別な場所だからこそ、物語がいつも以上に深く感じられ、合間には川遊びや焚き火でリフレッシュもできて、アウトドアと読書のいいとこどりが楽しめるでしょう。 チェアリングで叶うお手軽アウトドア! 椅子の選び方や便利なグッズを紹介
スーパー銭湯のお休み処で湯上り読書
スーパー銭湯でお湯にゆっくり浸かって汗を流した後、お休み処でゆるりと本を開いてみませんか。暑い日こそ、お風呂で体を芯から温めると、夏のだるさがすっきり取れて心もリラックスできます。涼しい休憩スペースに移って、冷たいドリンクを片手にお気に入りの本を読めば、小さなごほうび時間。リクライニングチェアや畳の上でくつろぎながら読むと、自然と物語の世界に入り込みやすく、日常の喧騒からふっと離れられます。スーパー銭湯なら手ぶらで気軽に立ち寄れるので、暑さで外に出るのが億劫な日でも、心地よい読書時間が楽しめますよ。
歩行者天国を眺めながら読書
8月2日は、都内で初めて歩行者天国が始まった日。そんな日にちなんで、にぎやかな通りを眺めながら読書を楽しんでみるのはいかがでしょうか。道沿いのカフェに入って、涼しい店内から歩行者天国のにぎわいをのんびり眺めながら読む本は、いつもより少しだけ新鮮に響いてくるかもしれません。読み疲れたら目線を上げて、行き交う人や風景を眺めてリフレッシュ。外に出かける元気が出ない日でも、ちょっとした街の喧騒とともに、自分だけの静かな読書の時間を楽しめます。
おわりに
夏本番の8月は、気分がゆらぎやすい時期。涼しいお部屋やちょっと足を伸ばした先の特別な場所で本の世界にひたる時間は、心と体をそっと整えてくれるはずです。今回紹介した本や読書スタイルが、あなたの「8月のとっておきの一冊」と出会うきっかけになりますように。 【7月におすすめの本】夏を彩る作品をピックアップ!暑い時期ならではの読書法も紹介

あさき
旅・南の島・海・犬・植物・音楽が好きな関西移住人。毎日の暮らしを心地よく、より豊かにするための情報をお届けしています。