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Nov 14, 2025

【医師監修】米麹の甘酒の嬉しい効果とは?栄養や飲み方のポイントをわかりやすく解説

升に入ったお米と甘酒

“飲む点滴”として注目され、美容や健康に良いと話題の「米麹甘酒」。栄養豊富で、さまざまな健康効果が期待できることから、愛用する人も増えています。せっかく甘酒を飲むなら、おいしさを楽しむだけにとどまらず、その特徴や栄養素、期待できる効果を知っておきたいもの。

今回は、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックの石岡 充彬院長監修のもと、甘酒を飲むときのポイントとあわせてご紹介します。

甘酒とは

甘酒をスプーンですくう様子

 

甘酒(あまざけ)は、日本で古くから親しまれてきた伝統的な発酵飲料です。1300年以上の歴史を持ち、日本最古の歴史書『日本書紀』にも甘酒の起源とされる飲み物の記述があるほど。近年は、その栄養面の高さから美容や健康への効果が注目され、手軽に取り入れられる飲み物として人気を集めています。

 

甘酒には「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類があり、作り方や味わいにそれぞれ特徴があります。

米麹甘酒の特徴

米麹のアップ

 

米麹甘酒(こめこうじあまざけ)は、お米と米麹だけを原料に作られる甘酒。「麹甘酒」や「糀甘酒」と表記されることもあります。

加熱したお米に米麹を加えて発酵させることで、麹菌がお米のデンプンをブドウ糖に分解し、砂糖を使わずとも自然に引き出される甘みが特徴です。ブドウ糖は脳や体のエネルギー源で、点滴にも欠かせない成分のひとつであることから“飲む点滴”といわれています。

酒粕甘酒の特徴

酒麹 酒粕 甘酒 発酵食品

 

一方、酒粕甘酒(さけかすあまざけ)は、酒粕をベースに水や砂糖を加えて作られる甘酒です。日本酒の製造過程で生まれる副産物「酒粕」を水で溶かし、砂糖で甘みを足して作られます。酒粕は麹菌と酵母菌の働きによって発酵が行われるため栄養価が高く、その独特の風味やお酒らしい香りを楽しめるのが特徴です。

米麹甘酒に含まれる注目の栄養素

甘酒をスプーンですくう様子

 

“飲む点滴”として注目されるほど、栄養たっぷりな米麹甘酒。では、具体的にどのような栄養素が含まれているのでしょうか?ここで詳しくご紹介します。

代謝を助ける!ビタミンB群

米麹甘酒には、体内の代謝やエネルギー産生に欠かせない「ビタミンB群」が含まれています。ビタミンB群は「ビタミンB複合体」とも呼ばれ、ビタミンB1・B2・B6・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・ビオチンの総称です。

 

これらはそれぞれが独自の役割を持つだけでなく、互いに補い合いながら作用し、炭水化物・脂質・たんぱく質の代謝をサポート。その結果、効率的なエネルギーづくりを助け、健康的な体づくりや美容面でのサポートにもつながります。

おなかの調子を整えるオリゴ糖・食物繊維

米麹甘酒に含まれる「オリゴ糖」と「食物繊維」は、腸内環境を健やかに保つ栄養素。毎日のおなかの調子を整えてくれます。オリゴ糖は腸内で善玉菌のエサとなり、環境を弱酸性に保つことで悪玉菌が増えにくい状態を作ります。さらに善玉菌のひとつである酪酸菌を増やし、大腸のぜん動運動を助けるため、便秘の改善にも役立ちます。

一方、食物繊維は善玉菌を育てるだけでなく、便のかさを増やしてスムーズな排便をサポートします。【医師監修】便秘対策は朝ごはんから!習慣化のコツとおすすめ腸活食材、お手軽メニューをご紹介

疲労回復と美肌ケアに欠かせないアミノ酸

米麹甘酒には、9種類の「必須アミノ酸」すべてが含まれています。アミノ酸は数多く存在しますが、私たちの体をつくるたんぱく質の材料となるのは約20種類。その中でも必須アミノ酸は食事から摂る必要があり、健康維持に欠かせない栄養素です。必須アミノ酸は、体の疲労回復を助けるだけでなく、運動前に摂取すると筋組織の再生や修復をサポートし、結果として持久力を高めたり、運動後の回復をスムーズにする効果も期待できます。

 

さらに、美肌ケアにも大きな役割を果たします。肌の一番外側にある角層(角質)の天然保湿成分の半分以上はアミノ酸で構成されており、角層の状態を整えて肌本来の力を引き出し、新陳代謝(ターンオーバー)を正常に保ちます。またハリを与える美容成分コラーゲンもアミノ酸から作られているため、健やかで美しい肌を維持するために欠かせない栄養素と言えるでしょう。【管理栄養士監修】甘酒は「飲む点滴」?甘酒の効果を徹底解説!ホームベーカリーでの作り方も!

米麹甘酒を飲むことで期待できる効果

冷たい甘酒 自宅 イメージ

 

栄養豊富で、美容や健康面に嬉しい作用をもたらす米麹甘酒。では、具体的にどのような効果を期待できるのでしょうか?ここで詳しくご紹介します。

腸内環境の改善で免疫力アップに期待

腸内環境 イメージ お腹に手を添える女性

 

米麹甘酒は、腸内環境を改善することが期待できます。人の体の免疫細胞の約7割は腸に集まっており、腸管免疫系が病原体から体を守る重要な役割を担っています。米麹甘酒に含まれる「食物繊維」や「オリゴ糖」は腸内環境を整えることで、この免疫システムを間接的にサポートします。

 

さらに、免疫細胞の働きを強化する「アミノ酸」や、代謝を助けて免疫を強化する「ビタミンB群」が含まれている点も、より免疫力アップが期待できるといえるでしょう。【医師監修】今更聞けない「腸活」とは?始め方や腸内環境改善の効果、おすすめの食材を紹介!

抗酸化作用による美肌効果

頬を指で押す女性 美肌イメージ

 

米麹甘酒に含まれる「エルゴチオネイン」は、抗酸化力に優れた成分で、体内の酸化を抑えることで、肌の老化を防ぎ、美肌づくりやエイジングケアに役立ちます。

 

さらに、強い紫外線吸収作用や炎症を和らげたりメラニン生成を抑える働きをするポリフェノールの一種「フェルラ酸」、肌のバリア機能を保ってうるおいを守るセラミドの一種「グルコシルセラミド」、コラーゲンやヒアルロン酸の合成を促してハリと保湿をサポートする「N-アセチルグルコサミン」なども含まれています。

 

こうした複数の成分の相乗効果により、米麹甘酒は“飲む美容液”とも呼ばれるほど、美容面でのメリットが期待できる飲み物です。

不調時の栄養補給

米麹甘酒に含まれる栄養素は、消化吸収されやすい状態にまで分解されています。そのため、体調不良時でも体に負担をかけずに栄養を補給でき、体調の回復にも役立ちます。

 

また“飲む点滴”と呼ばれるように、体の修復や免疫強化をサポートする「アミノ酸」、エネルギー源となり消化吸収の良い「ブドウ糖」、代謝を助けて免疫を支える「ビタミンB群」などもバランスよく含まれています。そのため、低下した体力を効率よく回復させるのにも効果的です。【管理栄養士監修】グリークヨーグルトの効果とは?ダイエット・美容にうれしい理由とおすすめの食べ方

脂質抑制でダイエット効果も

米麹甘酒に含まれる「レジスタントプロテイン」には、便通改善や血中の脂質を抑える働きがあり、ダイエット効果が期待できます。レジスタントプロテイン(RP)とは、甘酒などの発酵穀類飲料にも含まれるとされる消化耐性を示すたんぱく質で、食物繊維のように腸管内で脂質や胆汁酸に吸着しやすく、腸内で消化吸収されにくい性質から、そのまま体外へ排出されます。

 

また余分な脂質やコレステロールの上昇を抑える可能性が報告され、結果として健康的なダイエット効果や、生活習慣病リスクの低減が期待できます。豆乳はダイエットに向いている? 取り入れる際のポイントやおすすめの飲み方も【医師監修】アーモンドミルクの効果って?特徴・よくある質問を徹底解説

米麹甘酒を飲むときのポイント

それでは実際に米麹甘酒を飲むとき、どのような点に気をつければ期待できる効果を得られるのでしょうか。ここでは、そのポイントをご紹介します。

温めすぎない

冷やし甘酒 イメージ

 

米麹甘酒は、沸騰させるほど高温にすると酵素が失活(変性)してしまうため、温めすぎには注意が必要です(市販甘酒は加熱殺菌により酵素が既に失活している場合があります)。また夏の暑い季節には冷やしてさっぱりと味わったり、常温で飲むことも可能です。

空腹時は避ける

甘酒は、食事と一緒、または食後に少量を摂ると、血糖値の急上昇を抑えられるのがメリットです。その一方で、空腹時に飲むと糖の吸収が一気に進み、血糖値が急激に上がってしまうため注意が必要です。特に血糖値が高めの方や糖尿病リスクのある方は、空腹時の摂取は避けるようにしましょう。【管理栄養士監修】ダイエット中に食べてもいいおやつって?太りにくい間食を選ぶポイントを解説!

飲みすぎない

米麹甘酒は、栄養が豊富で美容や健康に役立ちますが、意外とカロリーが高いため飲み過ぎには注意が必要です。米麹甘酒のカロリーは100mlあたり約100kcalと、思った以上にエネルギー量があります。摂り過ぎるとカロリーオーバーになり、体重増加の原因にもなりかねませんので、1日の量は適量にとどめましょう。大人のためのココアアレンジレシピ特集|牛乳の代わりにおすすめのミルクも比較解説!

おわりに

スプーンと甘酒

 

米麹甘酒には、豊富な栄養素が含まれており、美容や健康にうれしい効果がたくさん期待できます。市販品も多く手軽に取り入れられるので、飲むときのポイントを意識しながら、毎日の食生活に加えてみましょう。レモン麹の使い方って?爽やかで健康的な調味料を簡単に使いこなそうおしるこの簡単アレンジ!ちょい足しするだけ&お手軽リメイク方法を紹介おみくじはいつどのように捨てればいい?正しい捨て方・返納方法を解説|初詣やパワースポット巡りに!いつものカレーに隠し味をプラス♪ 手軽に1ランクアップな味わいにしよう

石岡 充彬

石岡 充彬

医学博士/日本消化器病学会専門医/日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

国立秋田大学医学部医学科卒業後、秋田大学医学部附属病院の消化器神経内科学講座医員として研鑽を積む。2018年、がん研有明病院消化管内科。2021年、同病院健診センター・下部消化器内科兼任副医長に就任。2022年より都内内視鏡クリニックの院長を務める。2024年7月「日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック」を開設。

あさき

written by...あさき

旅・南の島・海・犬・植物・音楽が好きな関西移住人。毎日の暮らしを心地よく、より豊かにするための情報をお届けしています。