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Jun 09, 2025

【美容皮膚科医監修】ビタミンCを摂ると日焼けがしやすくなるって本当?関係性を詳しく解説

グレープフルーツサラダ

ビタミンCを摂ると日焼けしやすくなる──そんな話を耳にしたことはありませんか?「キウイやグレープフルーツなど、ビタミンCが豊富な果物は朝に食べるとよくない」といった噂もあり、気になっている方も多いかもしれません。

しかし実際はその逆で、実はビタミンCには紫外線から肌を守る効果が期待できるのです。ビタミンCは日焼けを促進するどころか、むしろ肌を紫外線から守り、ダメージを修復する強い味方です。正しい知識をもとに、効果的なスキンケアを実践していきたいですね。

そこで本記事では、PRIDE CLINICの久野 賀子院長監修のもと、日焼けとビタミンCの関係性について詳しく解説していきます。毎日の美肌ケアに、ぜひ役立てていきましょう。

日焼け前のビタミンC摂取は良くない?

スイートレモネード レモン 種類

 

日焼け前にビタミンCを摂取することについて、さまざまな噂があり「ビタミンCを摂ると日焼けしやすくなる」という噂を聞いたことがある方もいるかもしれません。しかし、実際に日焼けに関係しているのはビタミンCではなく「ソラレン」という物質。ソラレンはレモンやグレープフルーツなどビタミンCを多く含むフルーツに含まれているため、「ビタミンC=日焼けしやすい」という誤解が広まったと考えられます。

ソラレンとは

ソラレンとは、植物に含まれる光感作性物質の一種です。これは日光にあたると皮膚の感受性を高め、日焼けを促進させる可能性がある成分です。柑橘類の皮や一部の野菜・果物に含まれており、ビタミンCを多く含む食品と重なる部分があります。そのため、「ビタミンCを摂ると日焼けしやすくなる」という誤解が生まれました。ただし、ソラレンはビタミンCそのものではなく、あくまで同じ食品に含まれている別の成分です。実際に、ビタミンCを多く含むキウイフルーツには、ソラレンは含まれていません。

ソラレンも気にしすぎなくて良い

お皿に盛られたグレープフルーツ

 

ソラレンについて知ると、フルーツを食べるのが不安になるかもしれませんが、通常の食事量であれば過度に心配する必要はありません。

 

まず、ソラレンの影響は摂取量に比例します。日常的な食事で摂取する程度では、顕著な影響はほとんどないと考えられています。また、体内でのソラレンの半減期は比較的短く、数時間で体外に排出されます。そのため、朝に生野菜のサラダやグレープフルーツを食べても、その後の日焼けリスクが大きく高まることはありません。ただし、気になる人は温野菜にするなど、加熱してから食べるとより安心ですよ。

 

さらに、近年では品種改良によってソラレンの含有量が抑えられているフルーツも多く出回っています。大切なのは、必要以上に不安にならず、バランスの取れた食生活を続けることです。

ビタミンC摂取による日焼け対策効果

ビタミンCには、実は日焼け対策としての効果が多く存在します。適切に摂取することで、肌を守るさまざまな働きが期待できるのです。

 

・日焼けの抑制
・ニキビ防止
・シミしわたるみの予防

 

ビタミンCは強力な抗酸化作用を持ち、紫外線によって生じる活性酸素を除去します。これにより、日焼けによるダメージを軽減できます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

日焼けの抑制

背中を日焼けした女性

 

ビタミンCには、メラニン生成を抑制する効果があります。メラニンは紫外線から肌を守るために作られる色素ですが、過剰に生成されるとシミの原因になります。そんなメラニンの生成を適切にコントロールするのが、ビタミンCです。メラニンの生成につながる「チロシナーゼ」という酵素の活性をビタミンCが抑え、日焼けによる色素沈着を防いでくれます。

ニキビ防止

日焼けによる炎症はニキビの悪化を招くことがありますが、ビタミンCにはこの炎症を抑える効果があります。ビタミンCは抗炎症作用を持ち、肌の炎症を緩和する働きがあります。これにより、日焼けによって悪化しがちなニキビを防ぐ効果が期待できるのです。また、ビタミンCには抗菌作用もあるため、ニキビの原因となるアクネ菌の繁殖を抑制する効果も期待できます。

シミしわたるみの予防

美肌 皮膚ケア 深層 コラーゲン イラスト 図解

 

ビタミンCは、日焼けによって生じるシミ・しわ・たるみの予防にも効果的です。紫外線を浴びると、肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンがダメージを受けますが、ビタミンCはこれらの成分の生成をサポートする働きがあり、ハリのある肌づくりに役立ちます。

 

また、前述したメラニン生成抑制効果により、シミの発生も予防します。さらに、抗酸化作用によって肌の老化を防ぎ、しわやたるみの予防にも効果を発揮するのです。

ビタミンCの摂り方

ビタミンCを効果的に摂取するには、いくつかの方法があります。

 

・ビタミンCを食べる
・ビタミンCを肌へ塗布する
・ビタミンCのサプリメントを内服する

 

それぞれの特徴を理解して、自分に合った摂取方法を選びましょう。

ビタミンCを含む食べ物を食べる

お皿に盛られたキウイ

 

体の中からアプローチしたいときは、ビタミンCを多く含む食べ物を取り入れましょう。

 

・柑橘類(レモン、オレンジなど)

・赤ピーマン
・トマト

・ブロッコリー
・イチゴ
・キウイ
・アセロラ

 

ビタミンCは熱に弱く、長時間の加熱で失われてしまうため、食品から摂取する場合は、生で食べるか、短時間で調理するのがおすすめです。また、一度に大量に摂取するより、少量を複数回に分けて摂取する方が効率的に吸収されますよ。

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ビタミンCを肌へ塗布する

オレンジと化粧品. ビタミンケアイメージ背中を日焼けした女性

 

ビタミンC配合の化粧品やスキンケア製品には「ピュアビタミンC」「ビタミンC誘導体」の2種類があります。

 

ピュアビタミンC ・即効性がある
・不安定で酸化しやすい
ビタミンC誘導体 ・肌に浸透しやすい
・安定性が高い

 

化粧水やパックなど朝晩のスキンケアに取り入れると、紫外線対策として効果的です。ただし、これだけで完全な紫外線対策になるわけではないので、日焼け止めとあわせて使うのが基本です。

ビタミンCのサプリメントを内服する

ビタミンのサプリを飲む女性の手元 コップ

 

ビタミンCは熱などで壊れやすい成分であるため、十分に食べ物から摂取するのは難しい場合があります。そんなときはサプリメントを利用してみてはいかがでしょうか。サプリメントであれば、手軽にビタミンCを補給できますよ。

 

一般的な成人の推奨摂取量は1日約100mg。食べ物や飲み物からの摂取では不足してしまう分を、サプリメントで効率的に取り入れるのは日焼け対策はもちろん、美容や健康にも効果が期待できるでしょう。

 

ビタミンCは水溶性ビタミンで体内に蓄積できないため、余った分は尿とともに排出されます。そのため、やや高頻度に摂取することが大切です。ただし、腎臓機能障害を患っている方がビタミンCを過剰に摂取するのは腎臓結石などのリスクを高めてしまうため注意が必要です。

 

また、内服に加えて、美容医療では「高濃度ビタミンC点滴」などの注射による摂取方法もあります。直接血液に投与することで、より高濃度のビタミンCを効率よく取り入れられるのが特徴です。効果を早く実感したい方には、こうした美容医療に頼るのも選択肢のひとつです。

日焼け後のビタミンCケアの注意点

日焼けしてしまったあとにビタミンCでケアをする場合も、いくつかの注意点があります。適切に取り入れることで、回復を助ける効果が期待できます。特に、日焼け後の肌は敏感になっているため、通常よりも慎重なケアが必要です。ビタミンCの特性を理解して、効果的に活用しましょう。適切なタイミングと方法で摂取することが、回復への近道となります。

日焼けの炎症が落ち着いてから塗布

日焼けで顔が赤くなった女性 困る イラスト

 

日焼け直後の赤く炎症を起こした肌は敏感になっています。スキンケアが刺激となって、かえって炎症を悪化させる可能性があるので、ビタミンC製品の塗布は避けましょう。まずはしっかり冷やして炎症を鎮め、皮膚の熱感や赤みが引いてから使用するのが適切です。水ぶくれのような状態になっている場合は火傷状態なので、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。

刺激の強いものは使わない

水を張ったボウルにレモンと化粧水 ビタミン美肌ケアイメージ

 

日焼け後の肌は通常よりも敏感になっているため、刺激の強い高濃度のビタミンC製品は避けるべきです。低濃度(5%以下)のビタミンC製品や、刺激の少ないビタミンC誘導体配合の製品を選びましょう。また、アルコールやフレグランスなど、他の刺激物が含まれていないものを選ぶのも重要です。ビタミンCが肌に合わないと感じたら、すぐに使用を中止し、シンプルなケアのみにするようにしましょう。

こまめに摂取する

小皿に盛られたアセロラ

 

ビタミンCは体内に長時間留まらないため、こまめな摂取が効果的です。特に日焼け後は、回復のために通常より多めの摂取が推奨されます。食事では一日を通して少しずつビタミンCを含む食品を取り入れましょう。サプリメントの場合も、一度に大量に摂るより、分けて摂取する方が効率的です。肌への塗布も、朝晩のスキンケアに取り入れることで、継続的な効果が期待できますよ。

おわりに

両頬を触って口角を上げる女性

 

噂で聞く「ビタミンCを摂ると日焼けしやすくなる」という噂には、科学的な根拠はほとんどありません。むしろビタミンCには、日焼け対策や日焼け後のケアとして多くのメリットがあり、適切に摂取することで、肌を紫外線から守り、健やかな肌を維持する助けとなるでしょう。

 

ただし、ビタミンCだけで完璧な紫外線対策になるわけではありません。日焼け止めの使用や、帽子・日傘などでの物理的な紫外線カットと併用することが大切です。正しい知識をもとに、バランスの良い摂取を心がけて、日々のケアで健やかな肌を保ちましょう。

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久野 賀子

久野 賀子

PRIDECLINIC 院長

日大板橋病院にて初期研修終了後、湘南美容クリニックにて5年半勤務。新宿本院皮膚科医局長として通常の勤務だけでなく、新人医師の指導、VIP対応、トラブル対応に従事。2024年11月新宿二丁目にPRIDE CLINICオープン。

古泉葵

written by...古泉葵

2020年よりフリーランスとして活動中のWebライター。趣味は読書と手芸と料理。食べ歩きも好きで、夫婦で旅行に出かけることが好きです。