Jul 19, 2025
夏バテ対策は辛いもので!暑い季節に辛いものが食べたくなる理由&おすすめスパイス・レシピ紹介

年々厳しさを増す夏の暑さ。ぐったりとした疲れや食欲のなさに悩まされて、「夏バテかも」と感じている人も多いのではないでしょうか。そんなとき、なぜか無性に辛いものが食べたくなることってありますよね。実は、辛いものには夏バテの不調をやわらげてくれるヒミツがあるんです。
この記事では、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニックの安江 千尋 院長監修のもと、暑い季節に辛い料理が恋しくなる理由と、夏の体をいたわるスパイスの取り入れ方をご紹介します。食欲がわかない日にも取り入れやすい「ピリ辛のひと工夫」で、夏を元気に乗り切りましょう。
MOKUJI
なぜ夏は辛いものが食べたくなるの?
なぜ夏になると辛いものが食べたくなるのでしょうか。その理由と注意するポイントを紹介します。
発汗作用で涼しく感じるから
1つ目の理由は、辛い物を食べると汗をかいて涼しく感じるから。辛さのもとであるカプサイシンは、体温を一時的に上げて発汗を促します。この汗が蒸発することで体の熱が逃げ、ひんやりとした感覚に。暑い夏でも体温調節がしやすくなります。
食欲不振を防いで夏バテ対策になるから
2つ目の理由は、食欲不振を防ぎ夏バテ対策になるから。辛いものは味覚に刺激を与え、暑くて食欲が落ちている時でも食欲が増進します。また、カプサイシンが胃に刺激を与えることで、唾液の分泌が活発になり食欲が増しやすくなります。食欲が落ちやすい夏こそ、辛味の刺激が頼りになりますね。
ただし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある方は、辛いものが刺激となる場合があるため、体調に合わせて控えることも大切です。
辛い料理は取り過ぎには注意が必要!
夏バテに効果的な辛いものですが、食べすぎてしまうと胃痛や下痢、胃炎の悪化などの不調を引き起こす可能性があります。
辛味は味覚ではなく痛覚といわれていて、辛さが強すぎると口の中が熱くなったり、痛くなったりしてしまいます。また、大量のカプサイシンを摂取すると、のどや胃の粘膜が刺激されて荒れてしまうことも。辛さの感じ方は個人差があるので、無理のない範囲で、自分の体調や好みに合った辛さを選んでくださいね。 辛いものにはどのような効果がある?食べて得られるメリット
夏バテ対策におすすめのスパイス4選!効果と使い方
ここからは、夏にぴったりのスパイスを4つピックアップ。体調や料理のスタイルに合わせて、気軽に取り入れてみてください。
【コリアンダー】消化を助ける万能スパイス
別名パクチーでおなじみのコリアンダー。独特な香りのある葉と異なり、スパイスとして使われる“種”はほんのり甘くてやさしい風味。コリアンダーには腸内の善玉菌の増殖を助ける効果があり、腸内環境を整えたり、便通をサポートしたりと、夏のおなかにうれしい働きをしてくれます。 スパイス白湯に注目!どんな効果があるの?作り方やおすすめの組み合わせを紹介
【カイエンペッパー】発汗と代謝をサポート
カイエンペッパーは、赤く辛い唐辛子のこと。辛味成分「カプサイシン」を豊富に含んでいます。血行促進効果があり、冷え性やエアコンで冷えた体を温めて発汗を促します。カプサイシンには体脂肪を燃焼させる効果があり、ダイエット効果も期待できます。料理に少し加えるだけで、アクセントにもなりますよ。 【医師監修】夏に冷える原因とは?冷え対策・症状・予防法を解説
【ナツメグ】疲労回復に◎使いすぎ注意
甘くスパイシーな香りが特徴のナツメグ。肉の臭みを消す効果があるため、ミートソースやハンバーグによく使われるスパイスです。胃の粘膜を保護して消化を助けるピネンや食欲増進効果のあるミスチリン酸が含まれています。ただし、大量に摂取すると麻痺や嘔吐などの症状が出ることもあるので、少量ずつ使用してください。
【クミン】胃腸にやさしく夏バテ予防
クミンは、カレーの風味が特徴のスパイスです。食欲を増進させ、消化を助ける働きがあるので、夏バテで食欲がない時におすすめです。調理の始めに炒めるとより香りがたち、野菜炒めなどに使用するとエスニック風味になります。 種類豊富なスパイスの魅力解説!スパイスの役割にはどのようなものがある?
辛すぎる時の対処法!辛さを中和するコツ
夏バテ対策に辛いものを取り入れたけれど、「ちょっと辛すぎたかも…」なんてこと、ありませんか?そんなときに試してほしい、辛さをやわらげてくれる飲み物や食材を紹介します。
辛さには牛乳やラッシーが頼れる存在
辛い料理のお供にお水を選びがちですが、実は逆効果。辛さの原因であるカプサイシンは脂溶性で水に溶けないため、水を飲んでも一時的に口の中が冷やされるだけであまり効果がありません。 そこで活躍するのが牛乳やヨーグルト系の飲み物。乳製品に含まれる「カゼイン」がカプサイシンと結びつき、舌のピリピリ感を抑えてくれます。カレー屋さんでおなじみのラッシーも、そのひとつ。ほんのり甘く、ほっとできる味わいです。
辛さを和らげるおすすめの食材や調味料
辛さが強すぎるときは、料理にこんな食材を足してみるのもおすすめです。
・チーズ:カレーやキムチなどの辛い料理に味の相性がよく、辛さを和らげることができます。まろやかさが加わり、味にコクも出ます。
・卵:まろやかな味わいと旨味によって辛さを和らげることができます。
・マヨネーズ:油分にカプサイシンが溶けて、口の中の辛さを中和します。
・レモン:クエン酸がカプサイシンを和らげる効果があります。
夏バテ対策にぴったり!簡単&ピリ辛レシピ3選
火をあまり使わず、短時間でさっと作れるピリ辛レシピを紹介します。辛さの調整も自由なので、自分好みの“ちょうどいい辛さ”を見つけてみてくださいね。
簡単!ピリ辛たたききゅうり
きゅうりをたたいて、調味料とあえるだけの手軽レシピ。冷やしておけば、暑い日にぴったりの箸休めになります。中華風でも和風でも味付け自在。火を使わないので、料理が面倒な日にも重宝しますよ。
夏野菜たっぷりキーマカレー
ナスやズッキーニ、トマトなど、夏が旬の野菜をたっぷり入れたキーマカレー。旬の時期の野菜は安いだけでなく、栄養価も高いので、食欲がない時にこそ食べるのがおすすめです。お肉と一緒に炒めて、市販のカレールーで仕上げるだけなので、失敗知らずのレシピです。とうもろこしやゴーヤなど他の夏野菜を組み合わせてオリジナルのアレンジも楽しめます。
夏にぴったりの麻婆豆腐
ねぎや生姜などの薬味は胃腸の働きを助けるため、夏バテ対策に。ねぎや生姜の香味野菜をしっかり炒めて作る麻婆豆腐は、夏の疲れた胃腸にもやさしい一品。豆腐と豚肉には体を冷やす効果があるので、バランスよく体の調子を整えたい時に食べましょう。作り置きできる麻婆ダレがあれば、ナスや春雨などでもアレンジ可能。おうちの定番レシピにもおすすめです。
辛いものを味方につけて、夏を元気に乗りきろう
暑さで疲れやすい季節こそ、スパイスや薬味の力を上手に借りて、夏を元気に過ごしてみませんか? “ちょっとピリ辛”な工夫が、夏バテしがちな体と気持ちをそっと後押ししてくれますよ。食べる楽しみを忘れずに、自分らしく夏を乗り切りましょう。 業務スーパーの人気調味料「花椒辣醤」を試してみました!:調味料マカセvol .15
汗かく激辛麻婆豆腐!炎麻堂に挑戦! |KARAI Column vol.19

安江 千尋
天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長
自衛隊舞鶴病院内科勤務等を経て、がん研有明病院下部消化管内科副医長として消化器内科診療に従事。2024年12月より現職。資格は日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。精度の高い内視鏡診断・治療に注力しながら、地域に密着した丁寧な診療を行っている。

古泉葵
2020年よりフリーランスとして活動中のWebライター。趣味は読書と手芸と料理。食べ歩きも好きで、夫婦で旅行に出かけることが好きです。